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2011年6月25日 (土)

ハプニング

 6月24日、夜、東京文化会館(上野)。東京ニューシティ管弦楽団の定期演奏会。
 ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」(“のだめ”でも使われた曲)の演奏中に、事は起こった。

 最初は、いくつかの“奇声”が聴こえただけだった。
 指揮者が棒を振りながら発しているのかな、という風にぼくは思っていたくらいで(ごくたまにだが、指揮者が無意識に声を出してしまうことはある)、とくに気にも留めなかった。

 しかし、その次に奇声が聴こえた時には、その指揮者(カルロス・ミゲル・プリエト)が棒を振りながら、「何事か」と客席を振り返った。
 それでやっと、奇声が客席から、それも最前列、しかもど真ん中から発せられていることが解った。

 奇声の主は、40代くらいの女性。その声は右2つ隣の男性(知り合いではないらしい)に向けられている。
 興奮はさらに高まって、ついに立ち上がり、「バカヤロー!」などと罵りつつ、その男性の頭を2度、3度と叩き始めた。

 ピアノの名曲に、「バカ!」などの“合いの手”が混じるわけである。
 これはたまらない。(笑)

 近くの係員が駆け寄って制止し、女性を席に座らせ、その前にしゃがみこんでどうやら「静かにしてください」と説得しているらしい。

 そのまま事は収まるのかと安心し始めていると、再び女性は興奮し出し、内容は解らないが、やはり男性を罵っているのだ。
 このような場面が何度か続いた後、ようやく行動に表す必要がないところまで女性の興奮度数は下がってきたようだった。

 休憩時間がやって来て、客席が明るくなると、すぐさま男性は席を立った。
 女性もそのすぐ後に席を離れ、場内の真ん中の通路を上って行った。

 推測であるが、女性は曲に合わせて大きな仕草でリズムをとったり、指揮の真似事をしていたように見えた。
 それを目障りに思った男性が再三注意したところ、女性がキレて、先の醜態を晒した、のではないかとぼくは思っている。

 ――――――――――――――――――――

 可哀想だったのは、ピアニストのアンナ・フェドロヴァである。(女性。ウクライナ出身)
 ピアノは舞台中央の最前列に置かれているわけで、指揮者はピアノの奥にいる。
 つまり、客席最前列の醜態の一番近くにいた演奏者は、この曲の主役のフェドロヴァだったわけだ。

 1990年生まれとまだ経験の少ない演奏者であるから、テンポが乱れたり、あるいは最悪、演奏が止まったりしたっておかしくないと思うのだ。

 だが、彼女は何事もなかったかのように、最後まで見事に演じきった。(内心は知らないが)

「ピアノ協奏曲第2番」が終わった後、万雷の拍手で何度も舞台に呼び戻され、さらにアンコール2曲(「子犬のワルツ」と、もう1曲は何だったか…)
 演奏に夢中で、最前列の騒動など目に入らなかったのかもしれないが、動じずに弾ききった。素晴らしい。

 ――――――――――――――――――――

 後半のプログラムは、ベルリオーズの「幻想交響曲」。(ぼくはこれがお目当てだった)
 予ベルが鳴り終わると、舞台袖からマイク片手に音楽監督が現れ、先ほどの件を詫びた。
 純粋に詫びたかったのだろうし、万が一「入場料を返せ」などと抗議される事態を避けたい気持ちもあったかもしれない。

 音楽監督(兼常任指揮者・内藤彰氏)が「(彼女を)館内から退去させた」と告げると、客席は安堵の空気に包まれた(ようだった)。

 すべてのジャンルの演奏会(コンサート)で、あのような醜態が繰り広げられたのを、ぼくは初めて見た。
 とくにクラシックの演奏会ともなれば、「行儀の良い(あるいは、ぼくのように本性を隠して行儀良く見せる。 笑)客」が多いとしたもの。映画か、ドラマか、というような場面が繰り広げられるとは、思いもしなかった。

 あのようなことがあれば「後味の悪い演奏会」として記憶させられてもおかしくはないところだが、ぼくにとっては、むしろ良い意味での「記憶に残る演奏会」になる気がする。

“彼女”が居なくなったことによる「安心感」と共に、「あの程度のことで、せっかく聴きに来た演奏会を台なしにされてたまるか」的な、あるいは「あんなことがあったって、チケット代の元を取って帰るからな」的な、客席の妙な一体感、連帯感。(笑)

 もちろん、「ピアノ協奏曲第2番」「幻想交響曲」の演奏の素晴らしさがあってのことだけれど、演奏を終えたフェドロヴァがジーンズ姿で客席で「幻想」を聴いていたり、終演後、そのフェドロヴァがCD購入者にサインをしながら笑顔を振りまいていたり……。

 そして、震災後、日本での演奏会をキャンセルするアーチストが多い中、予定通り日本にやってきたフェドロヴァと指揮者のプリエト。
 ホールを出る時には、“あの場面”はすっかりどこかに消えていた。

 あの女性は、果たして“幻想”だったのだろうか――。
                      (谷川彬良)

(1990年生まれの新進ピアニスト、アンナ・フェドロヴァ。ロビーで笑顔を振りまく)

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コメント

toyo様

 こんにちは。
 そうですね、たぶんあの人は演奏会で大きな身振りでリズムをとる(指揮をする?)習慣があるでしょうから、これからもやる可能性はありそうですね。今回で懲りてくれたのなら良いですが…。
 映画の感動シーンで携帯が鳴って、集団訴訟で何十万円ですか。うわあ、怖いですね~。(笑) (会場内に電波が届かないようにはできないのか、といつも思ってしまいます。画面の明るさも、困りものですね)
 なるほど、今回の件でも、訴訟を起こせば勝てそうですか? もしもあの醜態が「幻想」のクライマックスに起こっていたら、訴えるかも、です。(笑)

こんにちは。
僕もあの場に居ました。2階席ですが、サイド席なのではっきり見えてましたが、あの女はダメですねっ。5年ぐらい前に演奏中、後方席のおっさん同士で殴りあいがあり、係員に誘導されて、外へ出て行ったのは見た事あったけど、今回の女は異常です(薬でもしているのか?)。
ってか僕がムカつくのは、恐らくチケット代を返金して帰ってもらったんだろうと思うけど、そこがおかしい。あの女は、どこかでまたやりますよ、きっと。 オケ側主催者は、お客は選べないし、お客が、危ない薬や武器・危険物を持ち込もうが分からないからしょうがないけど、次に彼女を入場させて問題を起こせば、オケの責任ですから、あの女が入らないように、気をつけないと。。。
 ってか昔、とある映画の最後の感動シーンで、携帯が鳴ったらしく、通常の地味な着信音ではなく、明らかに場違いな着信メロディを鳴らして、感動を台無しにしたとかで、その場にいたお客さんが劇場ではなく、その鳴らした個人を集団で訴えて、勝って確か何十万円ぐらい支払いがあったとか聞いたけど、今回だってオケ側がお客さんに署名でもしてもらい、集団で訴えれば、勝てますよ~。第3楽章の最後の10分ぐらい、、、一番盛り上がる所なんですから。。。 あの女に後悔をさせないと、またやると思います。ってか、フェドロヴァさんは可愛かったです。

mks様

 こんばんは。
 演奏会、いらっしゃったのですね。ぼくは中央のかなり後方に座っておりました。
 びっくりしましたよね~(笑) あんな出来事は、あの夜限りにしてもらいたいものです。
 ピアノのフェドロヴァ、大したテクニックですし、心も強そうですし、愛らしいのでファンになりました。
 そうでした、オープニングのメキシコの曲、「ウアパンゴ」も良い曲でしたね。

私も右端3列目で聴いておりました。「なに・・・なに・・・」と声が聞こえてきたとき音楽に集中できない自分がいました。が・・・ピアニストは動じませんでしたね。日本のイメージが悪くならないとよいですね。
指揮者の故郷であるメキシコの音楽がよかったですし、印象に残る音楽会になりました。

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