親父の一番長い日
先週であったか、「親父の一番長い日」というドラマが放送された。
さだまさしの歌に同じタイトルがあったなあと思い、見始めてみると、まさしく彼の歌が原案だそうである。(以前にも、ドラマ化されたことがあるらしい)
そのさだ氏本人も、チョイ役で2カットに登場していた。セリフなしであったけれど、この方はしゃべりだすと長いので、まあこれで良かったのではあるまいか。(笑)
それはさておき、ドラマのクライマックスに、小道具として「野球」が使われていた。
物語は、結婚適齢期の娘(長澤まさみ)に結婚を約束した彼氏がいて、さて父親(國村隼)が結婚を許すか許さないか――という、娘のいる家庭なら大抵は出くわすことになる昔からあるワンパターンの骨格である。
そのパターンを踏襲して、もちろん父親は結婚に大反対である。初対面で「君に“お父さん”と呼ばれる筋合いはない」などと、お決まりのセリフ(笑)も出てくる。
そんな折、彼氏が仕事で大怪我をしてしまい、車椅子生活になってしまう。もしかすると、一生車椅子の世話にならなくてはならないかもしれないのだ。
それでも、二人の愛は変わらない。再び結婚の許しをもらうために、車椅子の彼氏が家に来ることになっていた時間、会いたくない父親は外出した。
外は強い雨。一人の若者が雨宿りをしている。車椅子。娘の彼氏だった。
傘を差すことが出来ず途方に暮れているところへ、婚約者の娘がやってきて傘を差す。濡れた背中を拭き、車椅子を押しながら、家へと連れて行く。
父親はその光景を、隠れてじっと見ていた。しかし、家に戻ることはなく、外で飲んだ。「長い時間待っていたのに、なぜ帰って来てくれなかったの?」と娘は怒った。
父親は、彼が好青年であることは分かっている。車椅子の彼に対する娘の気持ちが変わらないことも分かっている。
なぜ結婚を許してくれないの?、と娘は思うだろうが、父親の立場となれば、娘を愛するがゆえに慎重にならざるをえない。健常の時でも反対であったのに、今は車椅子の世話になっているんだぞ……。
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翌日、彼氏の母親が訪れた。息子の結婚を懇願するのかと思いきや、「お嬢さんと、車椅子の息子を結婚させるわけにはいかない」。
この先、娘さんの苦労は目に見えている。だから、この話はなかったことに――彼氏の母親にしてみれば、断腸の思いの一言だった。
父親は病院に向かった。入院している彼氏に向かって、「オレと勝負をしろ」。草野球の投手をやっている父親が、かつて野球をやっていたことのある彼氏に「3球勝負」を持ちかけたのだ。「1本でもヒットを打ったら、娘をやる」
河原のグラウンド。マウンドに父親。バッターボックスで車椅子の彼氏がバットを構える。婚約者である娘、彼氏の母親ら、家族が見守る。
第一球、空振り。第二球、かろうじてバットに当てたが、ファウル。そして、運命の第三球――。
思い切り振ると、ボールは前に飛んだ。投手前への小飛球。彼氏は「絶対にセーフになってやる」と、車椅子のまま精一杯走り出す。
打球は、投手の前にポトリと落ちた。しかし、父親は処理しようとしない。一塁に向かう彼氏に向かって、こう言った。
「参った」――。
父親は、とっくに結婚を許す気になっていたろう。そこへ、彼氏の母親から「結婚話はなかったことに」と言われて焦った。
だが、これまでのいきさつから、素直に許すわけにはいかない。そこで、「3球勝負」の舞台を、わざわざ作ったのである。
ヒットを打たなくても、空振り3つでも、父親は結婚を許すつもりだったはずである。
フィクションではあるが、この二人の幸せな行く末を願わずにはいられない。
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この父親の気持ちは、とてもよく分かる。ぼくの娘は、8月に18歳。数年後に彼氏を連れてくることが、きっとあるんだろう。
娘とすれば、四の五の言わずに認めてくれることを望むだろうけれど、親とすれば彼氏を吟味する時間が必要だ。どこの親だって、そうだと思う。それが親の愛情であり、親として果たすべき最後の責任であるはずだ。
しかし、うちの娘に、そのような彼氏が現れるかどうかが問題なのだけれど。(笑)
ボーイフレンドはいるようだが、結婚となれば別の話。誰かいい人はいないかな?
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朝起きてみると、驚きのニュースが待っていた。
「マイケル・ジャクソン死去」。何があったのか。本当に驚いた。
性的虐待疑惑など、いろいろあった人生だったけれども、彼の歌手としての実力は本物だった。
「スリラー」など大人になってからの楽曲はもちろんのこと、ジャクソン・ファイブ時代の「ベンのテーマ」など、あどけなさの残る彼の歌唱力、リズム感も素晴らしかった。
あの切れ味鋭いダンステクニックも然り。
ぼくはディズニーランドのアトラクションの一つ、「キャプテンEO」(主演マイケル・ジャクソン、プロデューサーはジョージ・ルーカス、監督フランシス・コッポラ)が大好きだった。
「キャプテンEO」がなくなって10年以上経つと思うが、ぜひもう一度見たい。
同年代のスーパースターがまた一人亡くなった。
マイケル・ジャクソンさん、安らかに。
(谷川彬良)


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