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2009年5月

2009年5月31日 (日)

プロ注目右腕・大石、遊撃手でスタメン

(六大学09春早慶2回戦・W6-K5 早大2勝)

 単純に、面白いな、と思った。早大の154キロ右腕、大石(三年)が、09年春季リーグの早慶2回戦で、遊撃手としてスタメン出場したのだ。
 予兆はあった。昨日の1回戦、大石は控え野手として打撃練習に登場し、左打席で真剣に取り組んでいた。

 そして、今日の2回戦。打撃練習の開始と同時に、ヘルメットを被った大石がバットを持って出てきた。
 どっしりとした構えから、いい当たりのライナーを外野に飛ばす。内野手をやっていたことがあるとはいえ、大学ではほぼ投手専業。それでいながら、他の野手顔負けの打球の速さである。

 2回表だったか、大石のところにゴロが来た。余裕を持って掴んだものの、送球に移るまでに一呼吸置いてしまい、一塁は間一髪のアウト。(ぼくはセーフかと思った)
 チェンジになってベンチに迎えられた大石は、斎藤佑樹に「ヒヤヒヤさせやがって」とでもいうように、こぶしを突きつけられていた。(笑) 

 その大石。2回裏、野手としての初打席は、なんと右中間真っ二つの三塁打。次打者・市丸のセンター前ヒットで、先制のホームを踏んだ。
 その後、早大が優位に試合を進めながら、7回に慶大が1点差(6-5)に詰め寄ると、應武監督は大石をポジションチェンジしてマウンドへ送る。高校野球ではよく見る光景だが、大学野球では珍しい。

 雨が降っていて投げにくかったのか、9回までの2イニングで奪三振ゼロ。これまた大石には珍しい。しかし、1点差を危なげなく投げきって、春のシーズンを締めくくった。さすがは大石である。 

 大石の遊撃手起用は、今回のみのことなのか。それとも、秋のシーズンにもあり得ることなのか。
 春季優勝の法大は、二神、加賀美、武内、三嶋。明大は野村、難波、森田貴。立大は戸村、増田、仁平――というように、他校には「右のエース」が多い。早大は、それらの投手を打ちあぐねることが多かった。
 早大の内野陣は、原、松永、宇高、後藤と、すべて右打者。右投手の外角球に手が出ない場面が少なくなく、そこで「元内野手」の大石に白羽の矢が立ったのではないのだろうか。

 秋以降も、「内野手・大石」が見られるかもしれない。前半は打撃、守備で貢献し、終盤になればマウンドに駆け上がって、チームを勝利に導く。なんとも痛快な筋書きではないか。(ふと思ったのだけれど、斎藤佑はこんな大石を、ある意味羨ましく思ったのではないだろうか?)
 ただ、先制点をもたらす三塁打を放ち、打撃では非凡さを見せたものの、守備は送球や打球の追い方などに不安な面があったように思う。“急造”(何日か前からショートの練習をさせていたとはいうものの)なのだから、仕方がないが……ただし、いくつかあった飛球はきちんを捕球していた。

 ヒーローインタビューには、この大石が呼ばれた。先制のきっかけとなる三塁打と、2イニングを無難に締めた投球。当然だろう。
 應武監督は、大石の打者としての素質を高く評価しているそうで、「(投手か野手か?)オフに話して決める」と話しているらしいが……。

 プロ注目の154キロ右腕・大石。あの快刀乱麻の投球は、見納めとなってしまうのだろうか?(まさか)  大石の打撃センスは、それほどにすごいのか? 

 そうそう、度肝を抜かれたのは、こちらも投手・福井の初ホームラン。打った瞬間それとわかる会心の当たりで、レフトスタンドに運んだ。
 これで福井も野手転向? って、それじゃあ投手がいなくなってしまう。(笑)
                       (谷川彬良)   

2009年5月30日 (土)

早慶1回戦、余禄

 早慶1回戦。試合前の打撃練習に出てきた顔ぶれを見て、スタメン捕手が白川であることはわかった。
 これで「あのバッテリーが実現するんだ」と確信したものの、「あれれ?」の光景が待っていた。

 打撃練習はスタメンに続いて、控え選手と先発投手が行う。外野にいた斎藤佑がベンチに戻ってきて、ヘルメットを被り、バットを持って出てきた。ここまでは予想通り。
 だが、もう一人、バットを持って出てきた投手がいた。「15番」大石。ゲージの横で盛んに素振りを繰り返す。そして、ゲージに何度も出入りして、本格的な打撃練習を繰り返したではないか。

 この打撃練習の前半、大石はショートの守備位置にいて、打球を処理したり、一塁方向へ送球したりして、野手の真似事をしていた。
 そして、その後に打撃練習……。先発は斎藤なのか、大石なのか?

 まあ、先発投手は大方の予想通り斎藤だったわけだけれど、大石は野球部に入部当初、内野手登録だった。
 もしかすると、内野手に戻りたい? それもと投手と内野手を掛け持ち? 

 先日、自身最速の154キロを出したプロ注目の右腕が、投手のポジションを投げ出すとは思えない。
 大石の一存で今日のような練習は出来ないと思われ、應武監督も承知の上でのことのはず。何とも不可解な大石のパフォーマンスであった。

 何か情報をご存知の方は、ご一報を。(笑)
                                 (谷川彬良)

「心のバッテリー」、早慶戦で実現

(六大学09春早慶1回戦・W5-K1 早大1勝)

 ついにこの日が来た。“あの夏”の歓喜の後、秋の国体(兵庫県高砂球場)でも早実は3試合戦って頂点を極めているが、「正捕手」がマスクをかぶったのは最初の福知山成美戦の1試合のみ。(残りの試合は、発熱でベンチ外)
 その試合が行われた2006年10月1日以来、約2年8か月ぶりに神宮球場に所を代えて、公式戦での「心のバッテリー」が実現した。

 斎藤佑樹-白川英聖。この日を二人が特別なものと考えていたかどうかは知らないけれど、多くの人は待っていた。
 慶応の打撃練習終了の合図となるサイレンが鳴り終わり、早稲田のスタメングループがバットを手にベンチから出てきた。
 背番号「26」。白川がこのメンバーに入っているのを見て、今日が“その日”であることに気づいた一部の人からは、早くも拍手が起こった。

 スタメン発表。松永-小島宏-山田敏-原-宇高-土生-後藤。そして「8番、キャッチャー、白川君」。この時の観客席のどよめき、拍手、歓声。
 さらに「9番、ピッチャー、斎藤君」。このコールがあって、早大側応援席は沸きに沸いた。ついにこの瞬間がやってきたのだ。

 ――――――――――――――――――――

 1回表の早大の攻撃が終わり、ベンチ前で投球練習をしていたバッテリーが、グラウンドに向かう。
 マウンドに斎藤佑、ホームベースに白川。他の野手はまだベンチにいて、フィールドにたった2人だけの時間。さらに後藤が斎藤の後ろを抜けて、ショートの守備位置につく。後藤、斎藤佑、白川。フィールドに3人だけの時間もまた、誰かが演出したかのように訪れた。

 初スタメンマスクの白川は、奮闘した。2回一死1、2塁のピンチで、慶大はレフト前ヒット。山田敏からのダイレクト返球をつかんだ白川は、走者を見事にブロックし、先制点を阻んだ。
 かなりの衝撃があったはずだが、球をがっちりと離さなかった好プレーだ。

 5回の攻撃は、先頭の後藤が会心のレフト前ヒット。白川の送りバントが投手と捕手の中間に転がり、内野安打。この試合でリーグ戦初めて打席に立った白川は、2打席目で初ヒットを記録した。
 次打者・斎藤佑の送りバントは、捕手が間に合わない三塁に送球して、フィルダースチョイス。無死満塁。走者は、後藤、白川、斎藤佑。早実ファンも兼ねる早大ファンには、たまらない場面になった。(笑)
 この回、同じく早実出身の山田敏が押し出し死球を選ぶなどして、3点を追加(5-0)。試合をほぼ決定づけた。

 斎藤佑は10三振を奪ったものの、6安打4四球。あまり調子は良くなかったろう。球が高めに浮いたり、逆にワンバウンドするような球が連続する場面もあった。
 それでも終盤、ブルペンに行って修正し、犠飛の1点に抑える完投で22勝目。試合後のインタビューで、斎藤は「やはり投げやすかった」、白川は「楽しい一日だった」と語ったそうだ。

 白川のスタメン起用は、一年生捕手・杉山が前日練習中に顔面に球を当ててベンチアウトしたことによる“代役”と考えるべきだろう。
 1試合かぶってくれたことで、杉山との“違い”(このことについては、いずれ書くことがあるかも)も見えたことも事実だが、斎藤が「投げやすかった」のであれば、今後も二人にバッテリーを組ませる価値はあるのではないか。

 高校時代に戻って、二人がそれなりに“楽しんだ”この試合。斎藤佑と“古女房”との久しぶりの実戦(誤解を招きそうな表現であるが、お許しを。 笑)を、こちらも観客席から存分に愉しませてもらった。
                    (谷川彬良)

2009年5月29日 (金)

ちょっといい話

 明日(5月30日)の東京は、午前中の降水確率が60%。早慶戦がやれるかどうか、相変わらず怪しい状況である。日曜日は、なんとかやれそうな雲行きであるが。
 考えてみたら、早慶戦が平日になろうとなかろうと新人戦が予定されている。(早慶戦の翌日から3日間)
 リーグ戦と同様に楽しみにしている試合であるので、せめて早大の試合だけでも観戦したいものである。

 ――――――――――――――――――――

 さて、今日(5月29日)の朝日新聞に、「いい話」が載っていた。いずれも野球の話である。

 一つは、横浜・工藤公康投手の話。
「ゲンを担いで特別なユニフォームで試合で臨んだが、負けてしまった。さてどうする?」との質問に、工藤は、「縁起が悪いから二度と着ないとは絶対に思わない。むしろ、勝つまでこれを着てやろうと思う」と答えた。

 これは、ほんのさわり。広告局の記事であり、「一部地域のみ」と断り書きがあるが、読める方は読んでいただきたい。ネットで読めるといいのだが、むずかしいか?
 工藤投手の前向きな考え方が伝わってきて、中年のぼくとしては、非常に勇気づけられた。(笑)

 もう一つは、スポーツ欄にある、「長島三奈の『熱闘の予感』」。高校野球に関する、いくつかのエピソードが紹介されている。(確認していないが、こちらならネットで見られるかもしれない) 一つだけ紹介する。
 10年前、ある学校の甲子園練習を取材していた時のこと。一塁ベース付近に老けた球児がいた。よく見てみると、その学校の監督さんだったそう。選手と一緒にノックを受けているのである。

 守備の模範を見せているのではない。この監督は選手時代、甲子園に出場できなかった。
「ここでプレーをするのが夢だった。嬉しくてしょうがない」

 これは、よくわかる気がする。少年時代の夢は、何年たっても、何歳になっても、いつまでも夢として“熱”を持ち続けるのだ。
 甲子園に出場できる学校は一握り。試合でなくてもいいから、甲子園のグラウンドに立って、球を追いかけてみたい――と願う“少年”は、全国にたくさんいるんだろうと思う。
 昨年の夏の甲子園で、元高校球児の親子キャッチボールなる催しがあったけれども、毎年続けてもいいのではないだろうか。

 高校球児でなくても、野球場に降り立つのは一つの憧れでもある。ぼくは学生時代、開会式や表彰式の演奏で、後楽園球場と神宮球場の芝生に立ったことがある。
 美しい緑の絨毯は、ふかふかとして靴裏から心地よい感触が伝わってきた。後楽園球場はファウルエリアは、水はけ対策なのだろうが、思いのほか傾斜が強かったことを覚えている。
 昨年、神宮球場が人工芝を張り替えたが、完成間近のグラウンド(ファウルゾーン)に立ったことがある。新しい人工芝は毛足が長くて、それはそれは気持ちが良かった。
 ゲートが開いていたのでちょっと覗いてみただけなのだけれど、球場外に出てきてから「無断立ち入り禁止」の立看板に気づいた。ごめんなさい。(笑)
                      (谷川彬良)  

2009年5月28日 (木)

早慶戦への期待

 東京六大学野球09年春季は、優勝の懸からない早慶戦である。寂しい気がするけれども、かつてはそんなことは当たり前のような時代もあったわけで、寂しさを裏返せば最近の安定した強さ(特に早大の)を物語っているとも言える。
 優勝してもしなくても、早慶戦は早慶戦。選手の成長したプレーを、勝利に対する気迫を、純粋に愉しませてもらおうと思っている。
 ただし、早大は勝ち点を獲れば2位となるが、連敗してしまうとBクラス転落。最低でも、1勝はしないといけない。

 さて、最高の歓喜(優勝)は法大に持っていかれてしまったが、早大には打撃部門で「三冠」(表彰は首位打者のみ)を狙ってもらいたい。

「打率」は現在のトップは松本雅(法大)の.447。早大は山田敏が.371で3位につけており、3打数4安打(笑)で同率に並べる。
 冗談はさておき、トップに立つには5打数5安打が必要。厳しい数字だが、明大1回戦で山田は4打数4安打を残した。逆転首位打者は、夢物語とはいえまい。

「打点」は、小島宏が「13」でトップ。「12」で2位の多木(法大)は全日程を終えており、早慶の選手で迫っている選手もおらず、ほぼ当確だ。

「本塁打」は、土生が「2」でトップタイ。こちらもほぼ当確。もう一人は、サヨナラ優勝弾を放った今井(法大)。

 早慶戦という負けてはならない対決の裏で、應武監督は「秋」に向けて新戦力を試したり、オーダーをいじったりするだろうか。(昨年の3回戦は、不動の三番・松本啓をトップに置いた)
 そして、捕手は誰を使ってくるか。“彼”の初スタメンはないんだろうか?、などと思ってみたり……。

 週末の東京は、天気予報が芳しくない。予定通り行われるか、気になるところだ。
                   (谷川彬良)

2009年5月27日 (水)

5連覇

 09年春。首都大学野球は東海大、そして今日、東都大学野球は東洋大がそれぞれ5連覇を決めた。
 奇しくも、斎藤佑樹が大学に進んでから始まった連覇。早大も勝ち続けていれば今季で新記録の5連覇だったのだあと、妙な感慨にふけった。

 午前中、表参道に外出する用事があり、テキパキと終わらせて神宮球場に向かった。
 東京六大学と同じく、東都も直接対決の優勝争いとなったので、その第2ラウンドをぜひ観たかったのである。

 選手では、亜細亜大学主将の人気者、“ブーちゃん”こと、中田亮二(明徳義塾)を、大学時代に見ておきたかった。

 その中田は、1回表、二死無走者からコンパクトなスイングで一二塁間を抜くヒット。体に似合わず(失礼)、足も速い。満塁までチャンスを拡大したが、後続なし。
 2回表も二死無走者から満塁となり、ここで打席に中田。一打同点の場面だったが、ショートフライでチェンジとなった。

 亜細亜大は東洋大を上回るヒット数でチャンスはつくるものの、結果は昨日の1回戦と同じスコア(3-2)で東洋大が連勝。
 東都では、戦後初となる5連覇の偉業となったわけである。

 最後の打者は三振でゲームセット。マウンドに集まって、大喜びする東洋大ナイン。
 亜細亜大ナインは、呆然とその光景と見つめている。ここ何季も、実力は拮抗していると言われながら、どうしても破れない東洋大の壁。
 今季こそはと1位でこの最終決戦を迎えたが、またしても敗れ、5連覇を許す屈辱。亜細亜大ナインは、試合終了の挨拶に向かう気力を失っていた。

 それは主将の中田だって同じだったろう。だが、彼はいち早くホームベースに走り、まだベンチ前でがっくりしているナインに向けて、「早く来い」と手招きした。
 喜びの輪が解けた東洋大ナインと、落胆の表情のままの亜細亜大ナインが整列し、礼を交わした。

 中田は、東洋大主将の小島と握手して、健闘を称え合った。亜細亜大は3位に順位を落としてリーグ戦を終えることになったが、この悔しさを胸に、秋は再び優勝争いをするに違いない。

 ――――――――――――――――――――

 亜細亜大は、1点ビハインドの8回裏、マウンドに一年生の東浜(沖縄尚学)を送った。
 4連勝と負け知らずで臨んだ大勝負の1回戦は、6回9安打を浴びて初黒星。東浜はこのまま春を終えたくなかったろうし、監督もこのまま終わらせたくはなかったのだと思う。

 東浜は一死からレフト前へヒットを打たれるが、次打者を内野ゴロ併殺。
 納得のいく結果だったのか、それとも味方の最後の攻撃を鼓舞するためだったのか、マウンドから相当なスピードでベンチに走り込んだ。

 その東浜は、最高殊勲選手&最優秀投手となった東洋大・鹿沼を差し置いて、一年生にしてベストナインに選出された。
 4勝、4完投、防御率はトップの0.82。東都のスター選手の仲間入りである。
                              (谷川彬良)

2009年5月24日 (日)

雨上がりの神宮、劇的サヨナラ優勝弾

 東京六大学野球09年春季リーグ戦・法大-明大2回戦は、同点の9回裏、法大・今井がライトスタンドへサヨナラ本塁打。6季ぶり、43回目の優勝を決めた。

 ――――――――――――――――――――

 雨模様の中始まった試合。序盤、法大、明大ともチャンスをつかみながら、先制機を逃す展開。そんな中、法大は3回、亀谷のライトへのホームランなどで3点を奪った。
 あと1勝すれば優勝が決まる法大。優位な展開となり、空も祝福するかのように雨は上がった。

 ところが、追い詰められた明大が反撃。4回1点、5回2点で同点に追いつき、6回には勝ち越し点を奪って4-3。
 3回途中から救援した明大・森田貴が好投。流れは明大に傾き、3回戦突入の可能性が高まった。

 1点ビハインドの法大は、8回裏。一死1、2塁のチャンスに代打・喜多が三遊間へのゴロ。これを途中からショートに入っていた山内慎がレフト線へ大きく弾いて同点。(記録はエラーだが、難しい当たりであり、ヒットとしてもいいのに、と思った)
 なおも一死2、3塁で、明大は亀谷を敬遠して一死満塁。ここでエース野村をつき込んだ。
 絶体絶命の明大。野村の投げた初球を、和泉が完璧にとらえた。だが、三塁正面へのライナー。がっちりつかんだ三塁手がそのままベースを踏み併殺。ピンチを切り抜けた。

 法大は9回表、リリーフエース・一年生の三嶋をマウンドに送り、1安打を許したものの0点に抑え、「引き分け以上」が確定した。(プロ併用日で延長はなし)
 8回の絶好機を逃したとはいえ、法大とすれば「負けなければ良し」の計算はあったろう。3回戦に先発するであろう野村を引っ張り出し、9回裏もそのまま投げる。
 法大はエース二神を温存したまま、3回戦に臨める。

 だが、その3回戦はやって来なかった。9回裏の先頭打者は、前日同点打を放ち、この日3番に抜擢された今井(三年)。
 完璧にとらえた打球は、背走する右翼手を無情にもうっちゃって、ライトスタンドへ突き刺さった。

 優勝決定のシーンは、どの大学であれ、感動するものだ。
 法大ベンチからナインが飛び跳ねながら腕を突き上げて出てくる。殊勲の今井を迎えるためにホームベースを取り囲み、ベースを踏む今井の頭を、体を、バンバン叩く。和泉が昨日と同じように雄たけびを上げている。
 だれかれとなく、抱擁し、ハイタッチし、体をぶつけ合い、喜びを爆発させた。泣いている選手もいた。

 ――――――――――――――――――――

 優勝決定とあって、試合後に優勝インタビューが場内にも流された。法大の金光監督、石川主将、投手リーダー二神、そしてサヨナラ本塁打の今井。
 金光監督も泣いていたらしい。インタビュアーに「赤い目をしている」と突っ込まれていた。その後には、監督、主将らの胴上げが繰り返された。
 学生応援席では、団長(?)が締めくくりの「学生注目」を始めるところであったが、感涙に咽んで、言葉を詰まらせていたようだった。

 法大の胴上げのシーンを、三塁側の明大ナインがじっと見つめていた。(全員ではないようだった)
「連勝して逆転優勝」のつもりが、連敗。法大の歓喜を睨みつけるように見ている選手もいた。まぶたに焼き付けて、秋へのモチベーションとするかのように。

 この試合の勝利投手は、昨日に引き続き一年生の三嶋。今季は登板5試合、合計7イニングながら、防御率0.00。法大では二神の4勝に次ぐ、3勝を挙げた。
 もう一人の一年生・多木は、打率リーグ5位と「打」で貢献。先輩たちがはしゃぐ輪の外で、新戦力の二人ががっちりと握手していたのが印象的だった。
                   (谷川彬良)

2009年5月23日 (土)

延長熱戦、優勝王手

 東京六大学野球09年春季リーグの優勝を決める法大-明大は、5-3で法大が先勝。勝ち点を挙げれば優勝となる法大が、王手を掛けた。

 法大・二神、明大・野村。共に4勝のエース対決となったこの試合。好調な立ち上がりを見せた野村に対し、二神は固さがありあり。
 4試合連続完投勝利中、四死球わずかに1の二神が、1回裏、先頭打者に四球を与えた。
 無死満塁とされ、犠牲フライの1点に抑えたのはさすがというべきだが、3回に2点を追加されたところでKOとなった。

 一方、明大・野村は好調。最速149キロの直球に、多彩な変化球を交えて的を絞らせない。
 7回を終わって、法大は3安打。明大が3-0とリードして、試合はこのままかと思われた。

 だが、ここから法大は、昨年にはなかった粘りを見せた。
 8回、先頭の和泉がヒット、松本雅の死球でつかんだ一死1、2塁で、一年生の多木がライト線へ2点三塁打。続く今井は、ファウルで粘りに粘った後、セカンドの頭を越す同点タイムリーを放った。

 野村は9回まで投げたが、この試合は四死球6を与えるなど球数が多く、計148球。疲れが見えた8回、1、2塁のピンチとなったところで、スイッチしてもよかったかな、と思った。
 2点タイムリーの多木には、その前にもライナーのヒットを打たれていたのだ。

 法大は、二神降板の後、西、藤田(共に四年)、吉越(二年)、三嶋(一年)と繋ぎ、明大打線に1点も許さなかったのが大きかった。
 とくに8回途中からリリーフした三嶋は、最速153キロのストレートを軸に8打者を完璧に抑えた。
 早大の守護神、大石の投球を見るような爽快感がある。コントロールも安定しており、このレベルの投球をするリリーフ投手は、大石とこの三嶋くらいのものではないだろうか。

 その三嶋は、「打」のヒーローにもなった。10回表、二死2、3塁。両打ちの三嶋は、右の森田貴に対して、あえて「右打席」を選択。
 高く跳ねたセカンドゴロを、突っ込んでショートバウンドで処理しようとした二塁手・遠山が後逸。決勝の2点タイムリー内野安打となった。

 法大を生き返らせた2点三塁打の多木、そして完璧リリーフ&決勝打の三嶋。
 “表舞台”には一年生コンビが立ったものの、チャンスを作った打撃陣も、反撃を待って気持ちを切らさずに救援をこなした投手陣も、四年生の力が大きかったと思う。

 10回表に決勝打を放った三嶋が、チェンジになってベンチ前に戻ってきた。万雷の拍手で迎えるナインと観客。
 これから最後のマウンドに向かうことになる三嶋に、紙コップの水を手渡し、ヘルメットを脱いだ頭に帽子を被せてあげている男がいた。今日、先発でKOされた二神だった。
 投手リーダーの役割を与えられているエースが、下級生がやるような雑用を買って出ているのだ。

 何気ない、こんな一コマが、ぼくは好きでたまらない。
                      (谷川彬良)

 # 新型インフルエンザの感染者が東京で出てから、初めての週末。神宮球場は1万2000人の観客がつめかけたが、マスクを着用している人はほんのわずかだった。
 ざっと見渡したところ、せいぜい1%くらいの印象。ピリピリした雰囲気は感じられなかった。

2009年5月22日 (金)

次代を担う? 一年生遊撃手

 優勝争いとは別に、注目しているのは「一年生遊撃手」。明大・上本(広陵)、法大・多木(坂出)は共に全試合スタメン出場を続けており、すでにチームでの地位を確立している。

 上本は打撃では本来の力を発揮していないが(打率.154)、守備で魅せる。
 とくに三遊間のゴロへの対応は見事で、逆シングルで捕った時点で一塁送球へのスタンスができている。送球も安定しており、不安がない。
 表現が難しいが、まるで二塁守備のような軽い身のこなし、といった感じか。もしかすると、お兄ちゃんより上手?(すみません、怒らないで下さい。 笑)

 多木の売り物は、打撃(左打ち)。現在、打率.316はリーグ6位。打点10は2位タイと、勝負強いところを見せている。
 打ち損じが少なく、ライナー性の打球が多い。高校通算36本塁打と長打力もあり、今後、土生(早大)あたりと並んで、六大学の看板打者に成長してくるかもしれない。
 ちなみに、土生と多木は偶然、打率が同じである。(5月18日現在)

 上本は荒木郁(三年・日大三)を外野に追いやり、多木は長谷川(二年・常葉菊川)を控えに回させてしまった。
 荒木郁は押しも押されぬ中心選手であり、長谷川は昨年、一年生ながらレギュラーをつかんだ有望選手である。

 その二人からレギュラーを奪ったのであるから、この二人の一年生は相当なものをもっているはず。多木は打撃が目立っているけれど、守備も悪くない。
 今季は打撃好調の多木がベストナインに選出されようかという勢いだが、今後、この二人が六大学のショートの盟主争い、名手争いをするのかもしれない。
                         (谷川彬良)

 

2009年5月21日 (木)

さあ優勝はどっちだ

 東京六大学野球09年春季リーグは、各校1カードを残すのみとなった。第7週は1位法大、2位明大の直接対決。
 勝率で優位に立っている法大は、勝ち点を挙げれば優勝。明大は連勝すれば優勝、2勝1敗なら同率となり、優勝決定戦が行われることになる。
 直接対決での決着は、観ている側としては一番面白い展開といえる。

 法大は初戦の立大1回戦に敗れたのみで、以後は8勝1分け。一方、明大は開幕6連勝で臨んだ早大戦で1勝2敗。法大は、明大が勝ち点を落とした早大に快勝している。
 法大(10試合)は、得点53、失点18。明大(9試合)は得点33、失点20。この数字を見る限り、法大が優位のように思える。

 しかし、明大には野村がいる。昨年のリーグ戦で、野村は法大戦4試合に登板し、19回3分の2を投げて自責点0。秋には、完封勝利(2安打12奪三振)を収めている。
 また、今季3勝を挙げている難波は、防御率1点台。昨年は登板しておらず、法大にとっては“初顔”。打撃好調の法大とはいえ、相当苦労するのではないだろうか。

 法大の頼みの綱は、エース二神だ。今季は4試合すべて完投勝利で、防御率は0.75、四死球1と、抜群の安定感を見せる。
 もう一人のエース、加賀美はここ2カードベンチ入りしておらず、明大戦に出て来られるかどうかも大きなポイントだろう。

 ――――――――――――――――――――

 明大は、勝ち点が懸かった早大3回戦に、野村も難波も使わなかった。邪推かもしれないけれど、善波監督はどんな展開になろうと、二人を使う気はなかったのではないだろうか。(短いイニングならあったかもしれないが)
 勝ち点をとれば法大とタイになるが、それよりも法大との決戦に向けて野村と難波のコンディションを整えさせるほうを選んだのではないかと思うのである。

 決戦はどちらにもプレッシャーがかかるが、単独首位の法大がより強いのではないだろうか。
 一方の明大は、「連勝しかない」の気概で立ち向かうことができる。(連勝でなくても、勝ち点をとれば決定戦になるのだけれど)

 数字上は法大が若干有利と見るが、接戦ならば“気合”の」明大が有利かもしれない。
 失策数は明大7、法大12。このあたりの数字が、勝敗にどう影響してくるか。

 ――――――――――――――――――――

「新型インフルエンザへの対応」について、連盟が以下のように発表した。

 ご来場いただく皆様に安心・安全に試合観戦をお楽しみいただくための予防策として、下記のとおりの対応をいたしますので、ご協力お願いいたします。

1.セキ、発熱等の症状があるお客様は観戦を自粛ください。
2.必要とされる場合は、マスクの持参および着用をお願いします。
3.神宮球場では入場ゲート、トイレ等に消毒液を設置いたします。

 優勝の懸かる法明戦、翌週の早慶戦。クライマックスを迎えたリーグ戦に、予想されたことではあるが、やはり新型インフルエンザが影響してきた。
 東京でも感染者が出たのであるから、こうした措置は当然なのだろう。
 健康体ではあっても、感染すると肺炎などの合併症を引き起こす可能性のある状況に置かれた方もいらっしゃるでしょうね。心配なことである。くれぐれも、ご自愛いただきたい。

 今週末、来週末、神宮球場にどのくらいお客さんが入るだろうか?
 いや、それよりも、選手にも観客にも感染が広がらず、収束に向かうことを祈るばかりである。
                      (谷川彬良)

2009年5月20日 (水)

早明戦、観戦雑記

(六大学09春早明戦・早大2勝1敗)

 3連戦のうち、球場で観戦したのは1回戦と2回戦のみ。3回戦は、仕事をしながらパソコンで試合経過を追っていた。
 早大のリーグ戦の試合は、昨年は全試合を観戦した(と思う)ので、自宅観戦は久しぶりのこと。不思議な感覚であった。(笑)

 その3回戦。早稲田スポーツの速報をONしたところ、まず飛び込んできたのは「杉山、不慮の事故」の報。
 春の明治戦は“何か”が起こってしまうのかなあと、暗~い気分になった。昨年は逆転サヨナラホームランがあったし、斎藤佑の負傷退場もあった。

 明治のノックの送球が当たったらしいが、ただの打撲で大したことはなかったのは幸いだった。
 後になって、「この試合を観たかった」と無性に思った。二番手捕手と思われる市丸がマスクをかぶったこの試合、杉山と比べてどの辺りが“優”で“劣”なのか。
 すべての面で杉山が上回っているのか、市丸の長短所はどこなのか、この目で見定めたかったのである。残念。そして、同じ意味で、いつか白川のスタメンマスクも見たいものである。

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 日曜日の2回戦は、じつはあまり覚えていない。(笑) 法大が慶大に連勝し、早大の優勝がなくなって脱力したのか、朝も雨が降っていて体が勝手に休戦モードに切り替わってしまっていたのか、それとも単なる体調不良だったのか判らないけれども、試合中、ずっと眠かったのである。
 終盤、逆転のチャンスを迎えた場面では目が覚めたものの、あと一打が出ず……。

 斎藤佑と松下はともかく、池下、大野という経験のない投手をリリーフに送ったことで、「應武監督は秋に向かっている」と感じた。
 1点ビハインドの場面で池下、2点ビハインドで大野。ブルペンで他の投手より調子が良かったのだろうけれど、優勝を狙う明大相手にはきびしかったか。優勝の可能性が残っていたら、同じ投手起用をしたかな?、などと眠気が襲う頭の中で(笑)ぼんやりと考えた。(池下、大野には申し訳ない言い方になってしまうが。でも、この二人には非常に期待している)

 開幕カードの東大戦。11-0の1回戦は、斎藤佑7イニング、大石2イニング。13-1の2回戦は、福井6イニング、大前1イニング、松下2イニング。実戦登板の少ない投手には、このような大差の試合で経験を積ませてあげてはどうなのだろう?、神宮のマウンドに慣れさせたらどうなんだろう?、と思ったりするわけである。
 まあ、應武監督の真意は判らないので、ぼくはまったく的外れのことを言ってしまっているのかもしれないのだが。

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 まだ優勝の可能性が残っていた土曜日の1回戦。早大の打撃練習を見ようと、9時15分過ぎに球場に入った。
 観客席に出てすぐに、“知り合い”の姿が目に入った。街ですれ違う友達にするように「○○さん」と気軽に声を掛けたのだが、怪訝なお顔。
 そうだ、初対面であることを忘れていた。(笑) 「谷川です」と名乗ると、「あっ」というお顔に変わった。

 早大の打撃練習を見ながら、お話をした。お元気そうで何より。こちらの体の心配までしていただいて、ありがたかった。
 そうこうしていると、その方のお知り合いの3人の方が近づいていらっしゃった。もちろん、初対面なのであるが、驚いたのは皆さんがこのブログを知っていて下さったこと。
 そして、さらに驚いたのは、その3人の方をぼくのほうからも存じ上げていたことだ。(このブログへコメントやメールを下さったり、、あるいはその方が展開なさっているブログを拝見したり、などで)

 お会いする約束をしていたわけではないのに、4人の方にお目にかかれるとは望外の出来事であった。
 皆さん、ありがとうございました。嬉しゅうございました。
                           (谷川彬良)

2009年5月17日 (日)

早大、連覇なくなった

(六大学09春早明2回戦・W3-M5 1勝1敗)

 早明2回戦が始まる前に、早大の優勝は消えていた。第1試合の慶法2回戦で法大が勝って8勝1敗(1分)の勝ち点4。
 早明2回戦で早大が勝てば6勝3敗(1分)勝ち点3となり、まだ可能性が残っていそうだけれど、その場合、明大は6勝2敗勝ち点3。第7週に法大vs明大の直接対決が残っているため、いかなる結果になっても法明のうちのどちらかが、早大の成績を上回るからだ。
 連覇がなくなった早大だけれど、応援部のリーダーは昨日と同じく鉢巻をして応援していた。

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 1回戦で見せた「つながり」のある打線はどこに行ってしまったのだろう。
 中盤まで、明大先発・難波を打ちあぐねていた早大は、終盤、チャンスをつくったが、あと一本が出なかった。

 ブレーキとなったのは、1番渡邊侑。7回、1点差に迫ってなおも一死満塁。最悪同点と誰もが信じるこの場面で、なんとピッチャーゴロ併殺。
 9回は2点差で同じく一死満塁、一打同点の打席は、三振。続く宇高も三振でゲームセット。
 この試合、宇高は4三振。調子の悪さがありありで、立教戦以降の5試合は21打数2安打である。昨年の活躍から、今年は打線の「核」の期待もあっただけに、なんとも歯がゆい。

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 合点がいかないのは、なぜ今日も斎藤佑が先発だったのか、である。
 1回戦で斎藤は、8イニング投げている。雨で中1日となるのなら、2回戦の先発もあるか、とは思っていたが、2日連続先発とは……。

 優勝の可能性が残っていたのなら、もちろんわかる。ちょっと無理をさせてでも、一番信頼のおける投手に託したくなるだろう。
 昨日のうちに連続先発を言い渡してあったのかもしれないけれども、試合開始直前に、早大の優勝は消えているのである。なぜ他の投手ではいけなかったのか?
 他の投手を出して敗れた場合、3回戦は再び斎藤佑-野村の対決となる。それを避けたかったのか?

 優勝は最大の目標であって当然だ。だが、それがなくなったのなら、選手に無理をさせないことに監督は配慮しなくてはならないのではないか。
 今季、勝ち星ペースがあまり良くない斎藤を、勝ち投手にしてあげたいのかもしれない。エースが勝ち星を重ねる状況は、チームに勢いを与えるかもしれない。
 でも、(前記事にココさんがコメントして下さっているように)投手の肩・肘は消耗品。プロ野球の先発投手は、今や1週間に1度のマウンドが当たり前のようになっている時代なのである。
                  (谷川彬良)   

2009年5月16日 (土)

斎藤佑、21勝目

(六大学09春早明1回戦・W7-M0)

 2点以内のロースコアの試合になると思っていた。プロ併用日で9回打ち切りであるから、0-0、あるいは1-1で引き分けかとも。
 いずれにしても、1点が遠い投手戦になるだろうと、多くの人が予想していたのではないだろうか。

 しかし、1回の攻防を終えて、試合前の緊迫感はほぼ消えうせていた。
 早大は1回に4点。明大先発の野村は「ボールが高めに浮いた。最悪の内容」と話した。ショックがありありだったという。

 しかし、野村はこれがリーグ戦初黒星。通算9勝1敗、勝率9割とは、素晴らしいペースである。
 斎藤佑が初黒星を喫したのは、一年生秋の法大戦。1回戦引き分けの後、2回戦に先発した斎藤は、6回9安打でKO(それでも失点は2)。そして「パニック」発言を残した。
 しかし、4回戦に再び先発し、初完投勝利。見事にリベンジを成し遂げた。

「ショック」の野村が再びこの早大戦に登板する機会があるとすれば、早大打線は今日の試合のように“簡単”ではないだろう。
 好投手は修正して、リベンジを果たすもの――だとすれば、やはり警戒しなければならない。

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 一方、斎藤佑は、初回に4点をもらって気が楽になった。早大ファンも気が楽になった。(笑) 
 いつもこんな展開だといいんだが……と思う一方で、ぎりぎりの勝負も望んでしまう天邪鬼。まあ、一方的な負け試合(今季の法大戦のような)でなければ、楽しめるということか。

 斎藤は8回3安打9奪三振。ボールが先行する場面もたびたびあったものの、まずまずのペースだったといえる。ひやりとしたのは、小道にセンターフェンス手前まで運ばれた当たりくらいだったと思う。
 立教戦2試合、そしてこの明治戦と、3試合続けて好投。いつものペースの斎藤に戻ったといっていいだろう。これで今季やっと3勝。通算21勝目となった。

 早大のこの3試合は、斎藤先発-大石リリーフのパターンが続いている。逆転優勝には後がないだけに、信頼度の高いこの2投手に頼りたい、というところか。
 日曜日は、東京は悪天候が予想されている。中一日空いての2回戦となった場合、先発は誰なのか。もしや、再び今日と同じ対決もある?
                       (谷川彬良)

早大打線、つながった

(六大学09春早明1回戦・W7-M0)

「まさか」と言っては失礼だろうか。あれほど“決定力不足”を露呈していた早大打線が、1回、二死無走者から4点を奪うとは、誰もが目を疑ったのではないか。敵も味方も。(笑)

 斎藤佑が無難な立ち上がりを見せ、その裏、明大・野村も簡単に二死として、戦前予想の「投手戦」の滑り出しを見せた。
 しかし、野村との広陵同級生対決となった3番土生が、当たりは良くなかったけれど、センター前にうまく落として口火を切る。
 4番原は四球でチャンスを広げ、山田、杉山が連続タイムリー。さらに小島宏が左中間を深々と破って、2点を追加。瞬く間の初回4点だった。

 いやあ、早大打線が明大戦でこんなに胸のすく攻撃を見せたのは、いつ以来のことだろう。
 3番土生は2安打、5番山田は4安打2打点、6番杉山は2安打1打点、7番小島宏は2安打4打点。「打倒野村」を果たすべく、センター中心に打ち返す意識が見て取れた。明大エース、野村を3回KO。やれば出来るのだ。(笑)

 ただ、渡邊侑、宇高の1、2番コンビ、8番後藤は蚊帳の外だった。とくに後藤は、3打席目まで必ず二死チャンスで打席が回ってきて、1、2打席は見逃し三振。3打席目は空振り三振。
 いつもの應武監督なら、連続見逃し三振あたりで交代させられてもおかしくないところであったが、まあ点差があったから、というところか?

 何はともあれ、注目のこの一戦に7-0と大差をつけての快勝。この打線の勢いが2回戦も続くかどうか、注目したい。
 前カードの立教戦も、決定打がなかっただけのことで、ヒットはそこそこ重ねていた。今年の打線は、そんなに悪くないと思う。
                      (谷川彬良)

2009年5月12日 (火)

斎藤佑樹、初めての経験?

 変なタイトルになってしまったけれど、内容はいたって真面目である。安心して、お読みいただきますよう。(笑)

 六大学野球09春季リーグは、第5週を終わって明大、法大が勝ち点3。早大、慶大が勝ち点2で追う。
 第6週は早明、慶法が対決する正念場。もしも早慶が揃って勝ち点を落とすようなら、優勝は法明に絞られる。
 連覇を目指す早大は、明大に連勝しても自力Vは復活しないが、可能性を残すために絶対に負けられない戦いである。

 1回戦の先発は、斎藤佑と野村の可能性が高い。
 変えてくる可能性があるとすれば明大だろうけれど、昨年実現しなかった二人の先発対決を、ぜひ見せてもらいたいものである。

 斎藤佑にとっては、意地でも負けられまい。六大学のエースとして、これまで現役最多の20勝(6敗)。入学してからの4シーズンで3度優勝し、その投の中心には必ず斎藤がいた。

 対する野村。入学した昨年春にいきなり優勝し、秋には44年ぶりの防御率0.00を達成してしまった。
 しかも、ここまで9勝(0敗)。「勝ち続ける」と言った斎藤の言葉を、野村は体現しているのだ。
 もっとも、斎藤は「早稲田は勝ち続ける」と言ったわけだけれど、昨年春、優勝を逸した際には「1回くらい、負けることもある」と見栄を切った手前、その明大に二度も優勝を持っていかれては、何とも恰好がつかない、と思っていることだろう。
 兎にも角にも、ここで10連勝という一区切りの数字を与えてしまったら、「六大学のエース交代?」とだって言われかねないではないか。

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 これまでの斎藤は、加藤幹(慶大)、岩田(明大)といった先輩投手、仁平(立大)、加賀美(法大)といった同学年投手との投げ合いばかりだったと言ってよい。「エース対決」とは言え、気分的には楽な部分が大きかったのではないか。
 だが、野村は1学年下である。初めてと言っていい年下エースとの対決に、どんな心模様でマウンドに上がるだろうか。猛烈な勢いで駆け上がってきた後輩投手に投げ負けるのは、プライドが許さないのではないだろうか。
 こんな時の斎藤がどんなピッチングをするか、楽しみでしょう?

 その上、斎藤は甲子園の優勝投手であり、野村は準優勝投手――と、余計なことを外野(ぼくのことです)が考えすぎなのかもしれないけれど、斎藤はどれほどこの一戦に勝ちたいだろう、と思う。
 その野村はインタビュアーに「斎藤佑樹投手に勝てるところはあるか」(だったかな?)と訊かれ、「試合には勝ちます」とサラッと言い放ったらしい。
「試合に勝つ」って、それは「斎藤より力が上」と言っているようなものではないか。(笑)

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 まあ、斎藤も、野村も、どこまでお互いを意識しているかは分からない。熱さ無縁の冷静な投球で、両校ゼロ行進となるのかもしれない。
 ただ、六大学野球ファンとしては、じつに興味深い試合だと思っており、ちょっとばかり対決ムードを煽ってみたかったのだ。(笑)
 どちらも、大学野球史上に残る好投手。最高の投げ合いを展開してもらいたい。
                      (谷川彬良)

2009年5月 9日 (土)

危険と隣り合わせのスポーツ

 5月5日に札幌市で行われた高校の練習試合で、ショートゴロがイレギュラーして、遊撃手の右目下の頬骨を直撃。意識不明の重体となり、8日に亡くなったそうだ。残念なことである。
 硬球に触れたことのある方はお分かりだろうが、思いのほか硬い。怪我の危険は常に付きまとうし、当たり所が悪ければ、今回のようなケースにもなる。
 試合中の事故としては、1972年の第1回日米大学野球の東門明選手(早大)が思い出される。一塁走者だった彼は、内野ゴロで併殺を狙った送球を頭部に受け、5日後に亡くなった。まだ19歳の若さだった。

 いつも愉しませてもらっている野球であるが、ひやりとさせられる場面にたびたび遭遇する。
 六大学野球でも今季、明治の上本内野手だったか、イレギュラーしたゴロを顔面に当てた。

 イレギュラーではないが、昨年春は、斎藤佑樹が打球を足にまともに受けて退場した。しびれたそうであるが、あれが頭部だったり、心臓だったらと思うとぞっとする。まさに、不幸中の幸いである。
 注意しきれない部分もあるわけだけれど、1ファンとしては、試合中も練習中も、事故のないことを祈るばかりである。

 気をつけなくてはならないのは、観客もそうだ。球場でファウルボールやホームランボールの直撃を受けた人を何度か見たことがある。
 最近では、東京ドームなどがグラウンドに迫り出した客席を設けていて、“臨場感”や“選手の目線での迫力”を売り物にしている。ファンも喜んでいるから、まあ、それはそれで良いのだろうと思う。

 でも、そのすぐ隣には、「危険」が潜んでいることを十分に認識しておかないといけない。
 観客の自己責任だとはいっても、負傷者が出ては周囲の観客も愉しさを奪われるだろう。

 六大学野球で言えば、リーダー部員やチア部員はもっと注意が必要だと感じる。
 リーダー部、吹奏楽部、バトン部(チア)のうち、試合中にグラウンドを常に見ていられるのは、基本、吹奏楽部のみ。リーダーもチアも、ほとんどはグラウンドに背を向けて応援活動をしているわけだ。

 ファウルは場所を選ばずに飛んでくる。彼らの脇をライナーがかすめた場面も知っている。
 応援活動も大事だけれど、体や命はもっと大事だ。野球部のように、ブルペンを守る役がいるのならいいけれど、応援団にはそうした監視役はいないようである。
 であるならば、応援の最中ではあっても、投手が投げる瞬間だけはグラウンドの方向を見るようにしてもらいたい。

 ファウルになる可能性、直撃する可能性は、きわめて低いことはわかっている。心配しすぎかな?
                        (谷川彬良)

2009年5月 8日 (金)

早立戦、雑記

 日がずいぶん経ってしまったけれど、六大学野球09春早立戦について、思いついたことをつらつらと。

 3回戦の試合前、早大の先発投手が気になっていた。打撃練習中、外野に散らばる投手陣の中で、ただ一人(だったと思う)キャッチボールをしていたのが、斎藤佑樹だった。
 相手は、「心のバッテリー」(あちらのブログで拝見したグッとくる表現なので、勝手に使わせていただきました。 笑)の白川である。この日は「26番」を着けて、ベンチ入りしていた。

 打撃練習が続く中、斎藤がベンチに走って戻ってきた。普通なら、ヘルメットに替え、バットを持って出てくるはずなのだが、出てこない。
 やがて、打撃練習終了のサイレンが鳴った。先発投手がバントの一つも練習しないのは、珍しいこと。2日連続の先発とあって、体力温存?

 一年生の外野手・佐々木。この試合の終盤、代走から試合に入り、打席が回って来た。
 二死3塁。これまでの打席でスイングをしていない佐々木が何をやるのか。見たいシチュエーションであった。

 佐々木は、1球目をセーフティバントするが、バックネットへのファウル。これで内野守備はますます警戒する。
 だが、佐々木は2球目もバント。これも同じようなファウル。2ストライクとなって、さすがに最後はスイングして三振となった(試合でスイングを見たのは初めてだ)。
 でも、この場面、もう一度バントを見たかった。「バントしかしない打者」を極めてほしい気がするのだ。
 守備が良いので、明治戦でも出場機会があるだろう。彼の打席、足、守備にご注目。

 立教先勝の2、3回戦、早大は斎藤佑、大石の二人のエースしか投入しなかった。3回戦は松下か福井の先発も考えられたが、前にも書いたように、1回戦の立ち上がりの悪さを應武監督が気にしたのだと思う。
 また、エース戸村を始めとする立教投手陣を、それだけ警戒していたことになる。
 斎藤佑は2度の先手を許したが、7回投げて2失点。勝ち星をつけてやりたかったけれども、2日連続の先発としては十分に合格点。同点のまま大石に引き継いで、立教戦勝ち点の立役者となった。

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 それにしても、立教はまたしても1回戦に勝ちながら、勝ち点ならず。同じことが3カードも続くのは、珍しいことだ。
 普通、1回戦に勝つチームが「強い」としたものである。2勝で勝ち点となるリーグ戦。先に勝つことがどれだけ有利であることか。だから、どのチームも1回戦にエースを立てて、もし3回戦となっても再びエースで勝負――が一般的な戦い方だ。

 地力はある。好投手も、好打者も多い。だが、何かが足りないのだろう。守備的なものか、気合的なものか。
 明日からの第5週。立教は明治と対戦する。立教の優勝はすでにないが、優勝争いをする明大が苦戦、あるいは勝ち点を落とすケースもあると見ている。

 1回戦は、戸村と野村の投げ合いになるだろう。立教打線は野村をなかなか打てないだろうが、やや力不足に映る明治打線も戸村を簡単には攻略できまい。増田も、仁平も、調子が良いようだ。
 明日は、神宮球場方面に出る用事があるので、少しだけでも試合を見られたらと思っている。
                (谷川彬良)

2009年5月 5日 (火)

何かを持っている男

(六大学09春早立3回戦・W3-R2、延長14回)

 延長14回を戦って、早大は15安打、9四死球、残塁20。出場したほとんどの選手に、ヒーローになるチャンスがあったといってよい。
 だが、ヒーローインタビューに呼ばれたのは、一年生捕手・杉山だった。この男は、やはり何かを持っているということなのか。

 延長14回表、簡単に二死。延長15回引き分けがはっきり見えてきた後、大石が三遊間へのヒット。
 続く杉山は、深い守備位置の左翼手の前に弾むヒット。本来なら、1、2塁のはずが、バウンドが変わったのか、前進して処理しようとした左翼手が後ろに逸らした。
 大石は一塁から一生懸命走って、決勝のホームベースを駆け抜けた。

 杉山はこの試合、飛球を打ち上げるケースが目立った。打席の前に應武監督から度々アドバイスをもらっていたが、わずかに打つポイントがずれているようだった。
 6打数目にしてやっと打ったヒットが、貴重な決勝二塁打。幸運も味方したとはいえ、敗戦目前の法大1回戦を引き分けに持ち込んだ起死回生二塁打もあり、「ここぞの杉山」の頼もしさを発揮している。

 延長に入る前の終盤、一つの見せ場があった。立教の攻撃は、二死で一塁ランナーは50mを5秒8で走るという五十嵐。
 リードが大きく、走る気配を見せていたとはいえ、杉山はストライク送球で俊足ランナーの盗塁を刺してみせた。それも間一髪でもなんでもない。二塁の手前で、楽々アウトなのだ。

 杉山の二塁送球や牽制球は、試合のたびに良くなっている。練習中からその肩を見ている相手チームはなかなか走ることができず、この3連戦で初めて立教が盗塁を企てたのが、この五十嵐の盗塁死だった(と思う)。
 昨年までの細山田時代もそうだったが、相手チームは怖くて盗塁の作戦を採れない。一か八かで走ってみると、きっちり刺される。
 これからも相手チームは、足を使った攻撃がなかなかできないのではあるまいか。盗塁を刺す捕手はもちろん優秀だが、“走らせない”捕手はその上を行く。攻め口を制限し、投手を楽にする、大した捕手だと思う。
                    (谷川彬良)

2009年5月 3日 (日)

出た! 154キロ

(六大学09春早立2回戦・W3-0R)

 エース斎藤佑は、8回まで2安打ピッチング。8回裏には3点目が入って、区切りの20勝を完投で飾らせてもよかったはずである。
 3回戦に備えさせる意味もあったかもしれない。しかし、應武監督は、この男も試しておきたかったのではないだろうか。
 早大のもう一人のエース・大石である。

 法大戦に先発、リリーフで2試合に登板し、計6イニングで6失点。優勝の可能性を残すには、この男の復活がどうしても必要なのだ。
 大石は、先頭打者に変化球を続けた後、一転してストレート勝負。148キロから入った後は150キロ台を連発し、何球目だったか、スコアボードに「154キロ」表示。スタンドがどよめいた。03年の一場(明大)、今季の三嶋(法大)に続く、六大学の最速タイ記録である。

 昨年までの大石が戻ってきた。9回の1イニングを2奪三振、15球で締め、復活を印象付けたことは大きな意味がある。
 この試合の大石の出来は、3回戦の投手起用に大いに関わってくるはずである。大石が使えなければ、松下、福井のどちらかを先発させ、抑えに斎藤佑を用意させる。
 しかし、磐石の大石が戻ってきたことで、もしかすると3回戦は再び斎藤佑を先発にもって来ることもできる――と應武監督は考えてはいないだろうか。

 立教の先発は、1回戦と同じ戸村であろう。慶大戦、法大戦とも、3回戦は打たれてしまっているが、だからこそ「三度目の正直」を目指して、並々ならぬ闘志を燃やしてくるに違いない。
 だからこそ、早大は先制点をやりたくない。だが、1回戦で先発した松下も、リリーフした福井も、最初の回は不安定で失点している。それだったら、今日好投した斎藤を先発させて、兎にも角にも先制点をやらない展開を狙うのではないか――と、これまた素人の浅はかな推測である。(笑)

 ただ、早大は次週は試合がない。そのくらいの使い方は、酷使とはいえないと思うのだが……さすがに先発はきついかな?
                      (谷川彬良)

エース、8回12奪三振で20勝

(六大学09春早立2回戦・W3-0R)

 5日前と同じ投手だとは思えなかった。今日の試合はコントロールの安定度が前試合とは一変し、8回を投げて2安打無失点、12奪三振。最速は147キロ。
 何よりも、四死球0が頼もしい。制球さえ乱れなければ、やはりそう打たれる投手ではないのである。

 2試合足踏みしたとはいえ、これで平成最速タイ(36試合目)となる20勝到達。本人は新記録が成らなくて満足はしていないだろうけれど、優勝争いに踏みとどまる貴重な勝ち星となった。

 力を証明しなくてはならなかった。法政戦で勝ち星を挙げられなかった自分のためもあるが、「この男」のためにも好投したいと斎藤は必死だったのではあるまいか。
 一年生捕手・杉山。図抜けた実力はチームの誰もが認めるところではあっても、少なくない失点を重ねて法大戦、立大1回戦と3連敗。今日のこの試合は、この男のためにも負けられない――と。

 今日の試合を見ていて、バッテリーの意思疎通が図れてきたと感じた。事前の打ち合わせを十分にしたことはあったにしても、サインに首を振ることは(ほとんど)なく、杉山の要求通りに投げて、2安打、12奪三振に封じた。
 見事な復活劇、といっていいだろう。

 しかし、不安材料もある。立大の5番大林に、ライト、レフトへあわやホームランかの大飛球(ファウル)を飛ばされたり、その他の打者にもフェンス際までもっていかれる場面があった。
 昨年と比べて、もしかすると球質が軽いのか?、とこのあたりが気になった。

 単なる通過点(ちょうど中間点あたりか)とはいえ、区切りの20勝。気分が悪いはずはない。
 試合の中盤には、ベンチに戻ってくる際に杉山と笑顔を見せる余裕も出てきたし、試合後のインタビューでは、5日前の涙目とは180度違う笑顔も見せた。
 エースが戻ってきた早大。さあ優勝に届くだろうか。
                    (谷川彬良)

早稲田、残った

(六大学09春早立2回戦・W3-0R)

 負ければ前カードの法大戦に続いて勝ち点を落とし、優勝争いから脱落する早大は、3-0で勝って、優勝争いに踏みとどまった。

 総得点3のうち、1、2点目はラッキーを絵に描いたような得点であった。
 5回、先頭の渡邊侑は、左中間へのヒット。無謀かと思えた二塁突入は、送球が一塁側に逸れて、二塁打となった。まさに、好走塁と無謀走塁が紙一重であることの典型である。
 続く松永は、二塁ライナーかとも思われたが、ワンバウンドと判定され、無死1、3塁。

 ここで打者は斎藤佑。ネクストで應武監督からなにやら耳打ちされていた斎藤は、一塁前へのバント。一塁手も慌てたけれど、もっと慌てたのは三塁走者の渡邊。
 突っ込んではいけないのに、「スクイズのサインを見落としたか」とでも勘違いしたか、スタートを切ってしまった。三本間に挟まれたが、三塁手の捕手への送球が乱れて、まさに運良く先制点となった。斎藤のバントは、スクイズではないと思うが、どうだったか?

 7回の2点目は、ショートの2つのエラーでもらったもの。松永の打球をショートがエラー。斎藤が送って二死2塁となり、杉山のショートゴロを一塁へ悪送球。
 一塁塁上で、杉山はやったとばかりにガッツポーズを見せていた。何はともあれ、斎藤佑、杉山が1、2点目に絡んだ。このバッテリーが“ラッキーボーイ”とでもいうかのような流れだった。

 自力で奪ったのは、3点目のみ。8回、土生がライトスタンドへ、目の覚めるようなライナーを突き刺した。
 今日は5番で2安打。法大戦に続く一発。左投手であっても、常にクリーンナップに置いてほしい選手である。

 早大打線は4安打。得点も相手に助けられたものがほとんどであり、本調子とは程遠い。
 しかし、どんな形であれ、少ない得点を投手陣が守り抜くのが、昨年までの早大野球。應武監督が目指す「1-0で勝つ」とは、まさに今日のような試合ではないか。

 先発した斎藤、リリーフの大石がともに好投して、早大は優勝争いのがけっぷちに踏みとどまった。
                      (谷川彬良)

2009年5月 2日 (土)

「春」は続くか、この男次第

 立教1回戦に負けた早大は、ここまで2勝3敗。2回戦に敗れるようなことがあれば勝ち点を2つ落とすことになり、連覇の期待が大きかった「春」はそこでほぼ終了する。
 その2回戦の先発が有力なのは、斎藤佑である。今日は試合中盤からブルペンに入り、投球練習を続けていた。見にくい位置であったので、内容は残念ながらわからない。

 試合前のノックで、斎藤は一塁線に立ち、一塁へ送球されたボールを本塁に戻していた。
 ぼくの連れは「いつもと同じ表情に見える」と言ったが、ぼくには元気がないように見えた。
 普通の状態なら、先発を任されるはずの1回戦。ぼくはなぜここにいるのだろう?、といった、面白くなさそうな雰囲気である。

「春」が続くも、終わるも、この男次第だということになる。立教の先発は、今日の試合途中で調整していた仁平か。
 今季はともに調子が悪いけれど、「ライバル対決」が何かを呼び覚まし、エンジン全開とならないものだろうか?

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 もうひとり、鍵を握る男は「杉山」か。この日は、法大3回戦に続いて「1番」に座った。
 杉山-川西-土生の1番~3番は前試合と同じ。法政戦の9回同点打を見ると、杉山はクリーンナップに置きたい気がするのだが、それよりもまずチャンスをつくることが先決だと應武監督は考えているのだろう。
 今日はノーヒット(2打数)だったが、四死球3つを選んで、トップバッターとしての役割は十分に果たしたといえる。

 だが、捕手としては、ここ4試合連続で一人でマスクをかぶり続け、失点は2、8、8、5。勝敗は、1分け3敗。失点はすでに昨秋のチーム総失点「21」、昨春の「15」を上回ってしまっている。
 投手陣の不調が最大の理由(それは間違いない)とはいっても、杉山は捕手としての責任を感じているのではないか。どんな形にしても、「白星」がほしいところである。
                  (谷川彬良)

まさかの3連敗

 立大1回戦に敗れた早大。法大戦の連敗に続いて、じつに3連敗である。05年に應武体制になってから9シーズン目。3連敗は初めての出来事である。
 負けることは仕方がない。そういう時もある。だが、どうにもチームに元気がないような気がする。
 連敗だから元気がないのか、元気がないから連敗なのか。

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 今日のスコアは、立大5-早大2。7回だったか、無死満塁で山田敏が浅いセンターフライ、宇高がショートゴロ併殺に倒れたのが痛かった。
 だが、早大は2点しか取れなかったけれども、昨年あたりならば、こんな“貧打”の試合でも、2-0や2-1で勝ってきたのが早大ではなかったか?
 法大戦を終えて、エース斎藤佑の防御率は4.50。もう一人のエース大石は6.75。斎藤佑は、規定投球回に達したリーグ9人の中で、最下位の数字である。

 だが、昨年の投手陣と違うからといって、投手陣ばかりを責めるのはどうかと思う。
 それまでが投手陣におんぶに抱っこの打撃陣であったのだから、たまには投手陣を助けて打ち勝つ試合を見せてほしいものである。

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 それにしても、投手は立ち上がりがむずかしいんだな、と改めて感じさせた試合であった。
 この日、早大先発の松下は、1回に3失点。後藤の失策はあったものの、左へ右へ長打を浴びてしまった。しかし、以後は5回まで無難な投球。

 6回から登板した福井は、松下の立ち上がりと同じように長打を浴びて、2失点ながら、次の7回は無失点。
 2失点完投の立大・戸村にしても、初回に2失策があったとはいえ、2四球もあって1失点した。

 早大は、三番手に楠田を投入。今季初ベンチ入りで、即、登板機会がやってきた。
 その楠田は8回に登板。先頭打者に左中間二塁打を許して、「お前もか」と思わせたけれど、続く3人を落ち着いた投球で退けた。
 最速は142キロだったか。初登板であることを考慮すれば、まずまずのマウンドだったと思う。
 早大は負けてしまったけれど、楠田が元気な姿を見せてくれて嬉しかった。
                   (谷川彬良)

2009年5月 1日 (金)

今にして思えば

 早大が勝ち点を落とした法政戦。その2回戦で、こんな場面があった。
 試合前のノック。いつもなら、應武監督がバットを振って、飛球を打ち上げ、ゴロを転がす。よほどのことがない限り、監督自ら打つのだ。

 ところが、大石が先発するこの試合。監督はノックを学生コーチの武石に任せた。
 應武さんはどこにいたかというと、ブルペン。投球練習をする大石をチェックしていたのである。

 久しぶりの先発マウンドであるから、先発の心構えみたいなものを再確認したのか。それとも、調子がそれほど良くないのを感じ取っていて、心配だったのか……。
 ノックを放り出しての投球チェック。今にして思えば、大石KOの予兆?ともいえる光景だった。

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 この法政2回戦は、早大は三塁側。その三塁側内野席に、早大ファンと思われるボヤキオヤジがいた。
 年齢は60後半~70歳くらい。ボヤキの多くは先発・大石に向けられていた。

 5回で94球も投げたこの日はボール球が多く、投げるたびに「なにやってんだよ!」。3点目を三塁打で取られた後も続投と知るや、「まだ投げんのか。もうやめろ!」などと延々とののしり放題。
 早大が得点を挙げると、手を叩いて喜んでいるのだが、劣勢の場面だと選手を袋叩きにするのだ。大石には届いていないと思うけれど、周囲のかなり広い範囲までその声は届いていたろう。

 まあ、こういうファンは少数だけれども、必ずいる。応援するのは、うまく行っている時だけ。ちょっとでも気に食わないと、まるで敵のようにこき下ろす。(相手のことをこき下ろすのだって、ぼくは嫌いだけど)
 いつでも自分の思い通りに試合が進むと思っているのだろうか? 応援するチームの投手が苦しんでいるのなら、なぜ「がんばれ!」と言ってやれないのか。
 大石がこれまでどれほど早大の勝利に貢献してきたかを考えたら、そんな台詞を吐けるわけがないと思うのだが……。

 この男性、またしても三塁打で4点目を取られた後、どこかに消えてしまった。
 周囲の人は、ほっとしたはずだ。(ぼくも含めて)

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 余談である。

 法政との3回戦で、勝ち点を献上するのを見届けて帰宅したわずか1分後、先週から10日間ほど留守にしていた妻が帰宅した。
 開口一番、「どうだった?」と訊く。つまり、早大が勝ったか、と訊いているのだ。

「負けたよ」と答えるぼく。「ええっー」。絶句する妻。
 ニュースをチェックして、昨日まで1敗1分けであることは知っていて、今日も試合があることはわかっていたのだ。

「斎藤はボコボコ」
「……」
「昨日は大石もボコボコ」
「……」

 妻は斎藤佑と大石のファンであるから、かなりのショックだったようである。
 明日からの立教戦。妻と一緒に観戦である。斎藤佑も大石も、妻を立ち直らせてくれるだろうか。(笑)
                  (谷川彬良)

立教戦の見どころ

 明日(5月2日)から、早立戦である。法政に勝ち点を落としたとはいえ、優勝争いはまだまだこれから。
 ただし、勝率争いになったときのために、早大は残り試合を全勝で突っ走りたいところだ。

 対戦相手の立教は、慶大、法大に勝ち点を落としたものの、1回戦には必ず勝つ。
 そもそも、早大が一つも勝てなかった法大に勝利しているのであるから、決して弱いわけではない。

●投手
 1回戦の先発は、立大はエース戸村だろう。
 150キロ近い速球を中心に組み立てる投球は、そう簡単に打ち崩せない。1週休みがあり、休養十分だから、早大は苦戦しそうだ。

 その戸村に誰をぶつけるかが注目。法大戦2試合で打ち崩された斎藤佑の調子が戻っていれば、やはりこの男に託すだろうけれど、そうでないのなら安定感の増した福井か、力のある球が戻ってきた松下がいい。
 どちらかが完投できればベスト。しかし、リリーフを送る場面がきた時に、大石への信頼が戻っているのかどうか。
 もしも、まだあの状態ならば、この立教戦だけでなく、リーグ戦後半に向けて大いなる不安を抱くことになる。法大3回戦でベンチ入りした左の大野(二年)も、見たい投手だ。

 斎藤佑vs仁平は、2回戦の先発対決かな?

●打者
 法政3回戦で、應武監督は打線を大きくいじってきた。杉山-川西-土生-原-宇高-松永-渡邊侑-佐々木-斎藤佑。「一番・杉山」と発表されたとき、スタンドにどよめきがあった。そして、打線の「核」として期待していた土生が、ようやく「3番」に入った。
 第一打席、杉山は初球をセンター前ヒット。追い込まれた試合でも、最初から行ける気持ちの強さを感じた。
 続く川西は、送りバントを決めて、新打線が功を奏すかと思えたが、後が続かなかった。

 しかし、この試合、山田敏と土生は、法大エースの加賀美からリーグ戦初ホームランを放った。
 山田はレフトスタンド中段へ、土生はライトポールにぶち当てる、ともにライナーの素晴らしい当たりであった。加賀美に疲れはあったらしいけれど、六大学のエースの一人から記念すべきホームランを打ち、自信を持ったのではないだろうか。
 とくに土生は、1回戦であわやサヨナラのレフト前ヒット。法大一年の速球投手・三嶋の150キロに負けていなかった。

 8番・佐々木は1打席で交代したが、もう少し打席を見たかった。試合前の打撃練習ではもちろんスイングしているが(右でも左でも)、試合になると相変わらずスイングをせず。左打席でのセーフティバントは、またしても間一髪アウトになった。
 彼のような快足打者をラインナップに置くと、相手は嫌がるだろう。1番を打てるようになれば面白いのだけれど、まだ力不足だと思う。

 法大3回戦のこの打線をそのまま持ってくるのか、あるいはこの打線は加賀美用のスクランブルであって、立教戦は元に戻してくるのか。(土生の3番は続けてほしい)
 これまたスタメン発表が楽しみになる。
                   (谷川彬良) 

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