プロ注目右腕・大石、遊撃手でスタメン
(六大学09春早慶2回戦・W6-K5 早大2勝)
単純に、面白いな、と思った。早大の154キロ右腕、大石(三年)が、09年春季リーグの早慶2回戦で、遊撃手としてスタメン出場したのだ。
予兆はあった。昨日の1回戦、大石は控え野手として打撃練習に登場し、左打席で真剣に取り組んでいた。
そして、今日の2回戦。打撃練習の開始と同時に、ヘルメットを被った大石がバットを持って出てきた。
どっしりとした構えから、いい当たりのライナーを外野に飛ばす。内野手をやっていたことがあるとはいえ、大学ではほぼ投手専業。それでいながら、他の野手顔負けの打球の速さである。
2回表だったか、大石のところにゴロが来た。余裕を持って掴んだものの、送球に移るまでに一呼吸置いてしまい、一塁は間一髪のアウト。(ぼくはセーフかと思った)
チェンジになってベンチに迎えられた大石は、斎藤佑樹に「ヒヤヒヤさせやがって」とでもいうように、こぶしを突きつけられていた。(笑)
その大石。2回裏、野手としての初打席は、なんと右中間真っ二つの三塁打。次打者・市丸のセンター前ヒットで、先制のホームを踏んだ。
その後、早大が優位に試合を進めながら、7回に慶大が1点差(6-5)に詰め寄ると、應武監督は大石をポジションチェンジしてマウンドへ送る。高校野球ではよく見る光景だが、大学野球では珍しい。
雨が降っていて投げにくかったのか、9回までの2イニングで奪三振ゼロ。これまた大石には珍しい。しかし、1点差を危なげなく投げきって、春のシーズンを締めくくった。さすがは大石である。
大石の遊撃手起用は、今回のみのことなのか。それとも、秋のシーズンにもあり得ることなのか。
春季優勝の法大は、二神、加賀美、武内、三嶋。明大は野村、難波、森田貴。立大は戸村、増田、仁平――というように、他校には「右のエース」が多い。早大は、それらの投手を打ちあぐねることが多かった。
早大の内野陣は、原、松永、宇高、後藤と、すべて右打者。右投手の外角球に手が出ない場面が少なくなく、そこで「元内野手」の大石に白羽の矢が立ったのではないのだろうか。
秋以降も、「内野手・大石」が見られるかもしれない。前半は打撃、守備で貢献し、終盤になればマウンドに駆け上がって、チームを勝利に導く。なんとも痛快な筋書きではないか。(ふと思ったのだけれど、斎藤佑はこんな大石を、ある意味羨ましく思ったのではないだろうか?)
ただ、先制点をもたらす三塁打を放ち、打撃では非凡さを見せたものの、守備は送球や打球の追い方などに不安な面があったように思う。“急造”(何日か前からショートの練習をさせていたとはいうものの)なのだから、仕方がないが……ただし、いくつかあった飛球はきちんを捕球していた。
ヒーローインタビューには、この大石が呼ばれた。先制のきっかけとなる三塁打と、2イニングを無難に締めた投球。当然だろう。
應武監督は、大石の打者としての素質を高く評価しているそうで、「(投手か野手か?)オフに話して決める」と話しているらしいが……。
プロ注目の154キロ右腕・大石。あの快刀乱麻の投球は、見納めとなってしまうのだろうか?(まさか) 大石の打撃センスは、それほどにすごいのか?
そうそう、度肝を抜かれたのは、こちらも投手・福井の初ホームラン。打った瞬間それとわかる会心の当たりで、レフトスタンドに運んだ。これで福井も野手転向? って、それじゃあ投手がいなくなってしまう。(笑)
(谷川彬良)


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