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2009年4月

2009年4月29日 (水)

どうしたんだ、大石達也

 早法3回戦の9回表。マウンドには、早大のリリーフエース・大石がいる。だが、腰を上げ、出口に向かう観客がたくさんいた。
 相手校のファンではない。一塁側の早大ファンだ。こんな光景を目にすることになろうとは、思いもよらなかった。

 一時は1-6とリードされた早大は、小刻みに1点ずつを返して4-6。9回裏の攻撃が期待された。
 だが、この回から登板した大石が2失点。早大ファンはここで席を立ったのである。

 これまで、登板すれば必ずといっていいほど快刀乱麻の投球を見せた。前カードの東大戦でも、2回で4三振を奪った。
 その大石が、この法大戦は「らしさ」が見られない。先発した2回戦は、5回を投げて8安打4失点。3回戦は前述のように2失点。3安打を浴び、奪三振は1。1イニングを投げきるのに、29球も要した。

 調子が悪いだけなのか、それとも先発を経験したことで、リリーフのいつものリズムさえも失くしてしまったのか。
 球速は150キロ近かったけれども、何かが違うのだ。

 その「何か」とは何なのだろう? 好調な法大打線が大石を上回った、ということなのか。それならば、仕方がない。その側面もある。

 しかし、この法大戦で3試合とも登板した福井は計7イニングで1失点、2試合に登板した松下は計3イニングで失点0。この二人は、好投していたのだ。
 斎藤佑と大石。この2大エースを法大がかなり研究していたようである。今季の斎藤-杉山のビデオを徹底的に分析し、「追い込まれると低めに変化球が来るから、カウントを取りにくる球を狙った」そうだ。
 今回は、法大の研究と、分析に基づく攻略法をチームとして徹底できたことの勝利なのだろう。

 ――――――――――――――――――――

 しかしながら、法大だけが特別なことをしているわけではない。どのチームも相手の投手、打者を研究し、攻略法を考えるのは今や当たり前である。
 早大ももちろん、加賀美や二神、法大打線のことを研究したはずなのだ。だが、このような結果になった。相手が一枚上だったと、認めるしかないだろう。

 さて、法大が研究したという斎藤-杉山の投球パターン。週末対戦する立大だって、同じように研究しているはずだ。
 斎藤も大石も、法大戦で攻略された投球パターンを変えるのか、頑固に続けるのか。それとも、捕手を代えて目先を変えるのか。
 相手にいろいろ考えさせるだけでも、捕手を代える手はあるかもしれない。たとえ杉山と同じリードをしても、同じ結果にならない可能性もあるだろう。

 もっとも、それ以前に、斎藤と大石が捕手の要求どおりの球を投げられる調子に戻せるかどうかが問題だろう。
 とくに斎藤はあれだけ制球が乱れており、杉山のリードの問題以前の状態だった。杉山を責めては、可哀想である。

 立大戦。2大エースの調子は戻っているか。それとも、調子の良い福井、松下を先発に使うのか。
 また捕手はやはり第一人者の杉山を使うか、それとも目先を変えるか。應武監督の采配も、見所になる。
                      (谷川彬良)

初めての出来事

 早大野球部の監督に就任して9シーズン目の應武監督。過去8シーズンは優勝を逃しても必ず「9勝」を挙げていた。つまり、同一カードで連敗したことはなかったのだ。
 だが、今季(09年春)の法大戦。1回戦に引き分けた後、2、3回戦を連敗。残り3カードで勝ち点を挙げても、勝利数は「8」にとどまる。
 同一カード連敗は初めてであるが、そもそも2カードにまたがった「連敗」も、過去2度しかない。(2006年春、2007年秋)

 これで自力Vは消滅した。明大、法大が勝ち点を落とさない限り、早大の優勝はないわけである。
 しかし、残る3カードを全勝すれば、8勝2敗勝ち点4。もちろん、十分優勝に届く成績である。潜在能力から考えれば、6連勝は特別な出来事とは思わない。
 ただ、そのためには、斎藤佑、大石の二枚看板の復活が必要だ。すぐに迎える立大戦、二人の状態が注目である。
                     (谷川彬良)   

2009年4月28日 (火)

どうしたんだ、斎藤佑樹

(#文末に追記あり)

 優勝の行方に大きく関わってくる09年春の早法戦は、2勝1分けで法大が勝ち点をとった。
 第3週を終えた今日、順位表が発表され、勝ち点を落としていない明大が1位、法大が2位。3位の早大は秋春連覇に向けて、苦しい展開となってきた。

 ――――――――――――――――――――

 法大戦3回戦の先発は、斎藤佑樹。この試合に勝てば、平成最速の20勝到達新記録(35試合目)になる。
 3回まで、法大打線を無安打に抑えた。奪三振は4。この数字だけを見れば、「調子が良いじゃん」と思う人もいるだろう。

 だが、1回、3回と2度の満塁のピンチを迎える。なぜだ? 
 斎藤は大学に入って一番ではないかと思うほど制球が悪く、3回までに四球2、死球3(2者連続も)、振り逃げ1(暴投)の大乱調だったのだ。
 この2度の二死満塁で、法大の打者は好調の多木(一年)。ここをうまく抑えたことで、後半立ち直ってくれるのではないか、と應武監督に期待を抱かせたのかもしれない。

 だが、斎藤は一気に崩れる。早大1点先制直後の4回、法大は石川のタイムリーで同点に追いついて、さらに一死満塁。3番亀谷(現在、打率トップ)がセンターオーバーの三塁打。一気に3点を勝ち越した。
 斎藤はここが限界だったと思う。アウトにする打者も、あちこちに球がばらつき、ストライクとボールがはっきりしていた。この状態でストライクを取ろうとすると、球威がどうしても落ちるから、打ちごろの球が行きやすいのだ。

 4番の松本を三振にしたものの、5番佐々木にレフトへ2点本塁打を浴びた。マウンドで斎藤がうなだれる。このホームランがなければ、1-4。早大は最終的には4得点したのだから、ここで斎藤を見切っておけば……と悔やまれるところだ。
 それほどに斎藤は悪かった。リーグ戦で、これまでの1試合最多失点は4(一年春の早慶戦)であるが、それを上回る失点6。屈辱的なKOとなった。

 ――――――――――――――――――――

 この6失点の4回、こんな光景があった。無死1塁で、斎藤の前に転がった送りバントは二塁封殺。(この時、捕手杉山は、セカンド送球を大声で指示していた)
 この直後、斎藤はマウンドに戻る際に、捕手・杉山に向かって、走るしぐさをした。「一塁ランナーの盗塁に気をつけろよ」のジェスチャーだ。杉山は頷いた。

 昨年までの女房役・細山田に対してだったら、斎藤がこんなふうに気を遣うことはありえない。先輩の細山田にそんなしぐさをしたら、「バカヤロウ(わかってるよ)」と叱られそうなところだ。
 だが、捕手は一年生の杉山だから、念には念を入れて注意を促した。このように気を遣うことで、もしかすると投球に100%集中できていないのかもしれない、とも思った次第。この直後、斎藤は3点三塁打、2点本塁打を打たれた。

 昨日、白川とチェックしていたフォーム、腕の振りは、修正されていなかった。こんなにもコントロールの悪い斎藤は、見たことがない。
 今週末は、立大戦が控えている。土曜日まで中3日。エース斎藤は、どこまで調子を戻せるだろうか?
                     (谷川彬良)

(追記) まめごまさんからのコメント、また別の方からもメールでご意見をいただきました。今回の斎藤君の不調は、「肉体改造も一因では?」というわけです。
 球速アップ、威力増などを目指し、昨年11月から始めたというウエイトトレーニング。筋肉のつき方がこれまでの斎藤の投球フォームや腕の振りに微妙な影響が、もしかしたらあるのでしょうか?
  努力の方向が間違っておらず、スケールアップするための“成長痛”であればいいなと思います。

 また、今回の法大戦は、「150キロを投げたい」と斎藤は言っていましたが、その力みによってフォームのバランスを崩していたかもしれませんね。

 

2009年4月27日 (月)

危機感漂う早大ブルペン

 早法2回戦は、法大が8-1と大勝し、対戦成績を法大の1勝1分けとした。この法大に傾いた流れを早大がいかに食い止め、連勝して勝ち点を逆転奪取するのだろうか。
 3回戦は初戦と同様、斎藤佑vs加賀美の先発対決となりそうである。

 敗色濃厚となった今日の試合中、早大のブルペンは主力投手が次々と入って調整する姿が見られた。
 先発して、5回を投げた大石。昨日ぼくが先発と予想した「彼」とは、この大石のことであった。(すみません、嘘です。「彼」とは、やはり「彼」です。 笑)
 大石はオープン戦で何度か先発の機会を与えられていたから、リーグ戦に入っても先発はあるだろうとは思っていた。おそらく、昨日の試合で、福井と松下が安定していたから、昨年までの大石の役割を福井と松下に任せられる、と應武監督が考えたかもしれない。

 リリーフ登板を続けてきた大石が、先発でどんな投球を見せるのか。昨年来、ずっとこの機会をぼくは待ってもいた。
 しかし、5イニングで被安打8、自責点4。リリーフなら1イニングで2つ奪う三振は、5イニングで5つにとどまった。大魔神のごとき大石が、1イニングにタイムリー三塁打を2本浴びるなど、考えられようか?

 四球3、投球数94に、苦しみの後がうかがえる。降板後、大石はプルペンに行き、何かを確かめるように投げていた。
 この日の大石は、単に調子が悪かっただけなのか、それともいつもと違う先発というリズムが、本来の力を奪ったのか。「先発不適格」の判断を下すのは、まだまだ早い。

 今日の二番手・福井は、最初の回は先頭打者に変化球を3つ続けて3球三振。次の二神にはセンター前に弾き返されたのもの、次打者を併殺。わずか6球(か7球)で切り取った。
 しかし、2イニング目は20球以上投げさせられ、2安打1四球で1点を失う。不運な三塁打が絡んでいるとはいえ、彼もまた、降板後にブルペンで何かを確かめていた。

 ――――――――――――――――――――

 試合中、ずっとフォームを気にしていた投手がいた。今日は登板しなかった「彼」である。
 イニングの合間、ベンチ前で整列する時にも、彼は再三投球フォームを繰り返していた。
 腕の振りで、何か気になることがあるらしい。それは何イニングにもわたる。

 4回だったか、マウンドに上がる前の大石のキャッチボールの相手を彼(ええい、はっきり「斎藤佑」と言ってしまおう。 笑)が務めたのだけれど、すぐに控え捕手の地引がやってきた。
 斎藤はまだ相手をしたかったようなのだが、地引にその役を譲った。

 試合終盤、斎藤は白川を相手に、ブルペンで投げていた。相変わらず腕の振り、あるいは振りの角度が気になるらしく、ベンチに戻ってくる途中でまだ繰り返している。
 すると、白川が「そうじゃない」というように、自分で「こうだ」と右腕を振って見せた。それを見た斎藤は、白川を参考にして、さらにもう一度、二度、右腕を振り下ろした。

 その光景を見ていて、ちょっと胸が熱くなった。今日の試合は負けても、明日、明後日、持てる力を100%出すために、エースと捕手のリーダー格の二人が必死なのだ。
 明日、斎藤は先発する可能性が高い。長い付き合いのバッテリーがこの日導き出した結論が、どんなふうに結実するか、これは見ものである。
 そして、いつかこの二人がリーグ戦で18.44mの間隔で向き合う場面を、ますます見たくなった。
                          (谷川彬良)

連覇赤信号?

 早法2回戦。日差し、風の強さは昨日と同じような神宮球場。ただ気温は昨日よりも少し低かったか。
 その気温は法政打線の最適温であったらしく、法大は16安打8得点と躍動した。

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 1回表、二死から山田敏のライト前ヒット、原の右中間二塁打で先制した早大であったが、その裏、すぐさま同点に追いつかれた。
 チェンジになって守備から戻ってきた後藤に対し、應武監督がカミナリを落とした。帽子を取って、神妙に後藤が頷いている。

 1回裏一死満塁のピンチで、次打者はセンターの守備位置よりやや前のフライ。中継に入ったショート後藤は、小島からの送球受けてもホームへ投げなかった。
 すぐにホームへ投げていれば、アウトだったかもしれないタイミングだったのである。

 監督が怒っているのは、(推測だが)後藤が三塁走者はスタートを切らないだろうと勝手に決めつけていたからだと思う。
 送球を受けた後藤が、最初に視線をやったのは三塁ベース。そこに走者がいないのを見て、後藤は「えっ」と驚いたような表情をした。このケースは、まず本塁へ投げるつもりで振り返ればならなかっただろう。

 また、他の野手が、声で指示を出していたかも気になるところ。とくに一番近くにいた松永が、「(三塁走者が)突っ込んだぞ!」と叫べば、後藤は迷いなくホームへ投げていたと思うのだ。
 たぶん、監督の叱責は松永にも向けられていたろう。この叱責は、ナイン全員の円陣の中で行われた。

 もう一つ気になったのは、中盤、法大が無死2塁のチャンスをつかんだ場面。次打者が送りバントをし、つかんだ大石は三塁を見たものの投げず。これまたすぐに投げていれば、アウトのタイミングに見えた。
 だが、大石は自重して一塁へ投げた。このケースでは捕手がどこへ投げるかを指示しているはずだが、杉山の指示はどうだったのか? 声を出していたのか、出したけれど届かなかったのか、届いたけれど大石が躊躇したのか。

 ――――――――――――――――――――

 1-8と完敗した早大。5回に2点を奪われ、3点差となってからは、「今日は負け」のムードがスタンドには漂った。
 法大先発の二神は、立大戦に続いての無四球完投勝利。終始リラックスして、力に頼らないピッチング。しかし、ゲームセットの三振は、148キロの直球で奪った。

 法大は乗ってきた感がある。明大は開幕4連勝。早大がリーグ戦序盤で勝ち点を落とすようなことになれば、早慶戦の前週の法明戦が優勝決定戦になってしまうかもしれない。
 しかし、悲観するのはやめよう。07年秋、08年秋とも、法大戦は2回戦を終わった時点で1敗1分けだったが、そこから連勝して勝ち点を奪ったのである。

 さて、背水の陣で迎える3回戦、4回戦。神宮球場は、早稲田打線の最適温になるだろうか。(って、何度だ? 笑)
                       (谷川彬良)

2009年4月26日 (日)

屈辱?の四番・原

 早法1回戦、9回裏。先頭打者の3番山田敏がショートのエラーで出塁すると、應武監督は4番原に代えて新佐古(早実・四年)を打席に送った。
 新佐古は期待通り送りバントを決め、杉山の同点打を引き出した。

 しかし、先頭打者が出たから、送りバントのために代打を出した、というわけではない。
 9回裏の攻撃が始まる時から、ネクストに原の姿はなく、この日初めてベンチ入りした一年生の地引(29番)がヘルメットをかぶって素振りを繰り返していたのだ。

 1点差で最終回の攻撃。4番に座り、しかも早大で最もホームランが期待できる打者。
 それなのに、應武監督はその原を引っ込めた。原にとって、これ以上の屈辱はあるまい。しかも、一年生が代打に送られるところだったのだ。(地引の打撃も見たかったけど)

 この試合の原は、桐蔭学園の同級生である法大のエース加賀美に、まったくいいところなし。
 しかも、守備では何でもないゴロをエラーし、またアウトにはしたものの、やはり簡単なゴロが手につかない怪しい守備をしていたのだ。

 でも、いくら應武監督の堪忍袋の緒が切れたとはいっても、あの1点差の場面で代えられるとは思わなかったのではないか。
 もしかすると、試合後、原は東伏見まで罰走ではなかったかと心配しているのだが、どうだったろう。
 まあ、明日、明後日と試合があるのだから、そこまではしないかな?
                       (谷川彬良)

斎藤佑樹、20勝目は持ち越し

 早法1回戦。平成最速の20勝到達を狙った斎藤佑樹は、1回に2点を失い、調子は今ひとつ。その後は得点は許さなかったものの、5回6安打奪三振3。5回の打席に代打を送られた。
 最速は146キロだったから、球速はまずまず。しかし、法大打線は斎藤のあらゆる球種、球道を研究していたようで、アウトになっても「いい当たり」がかなりあった。
 とくに法大の一年・多木(左打者)はタイミングが合っていて、1回の山田敏のファインプレーの打球も、この多木が放ったものだった。

 引き分けに持ち込んだ早大の投のヒーローは、リリーフした福井と松下である。
 福井は3イニング、松下は1イニング投げて、追加点を許さぬいい仕事をした。
 今季の福井は安定感があり、松下も最速147キロを記録するなど、今日は前回登板よりも良い内容だった。

 それにしても、應武監督が第2先発の福井を、初戦のリリーフに送り込むとは思わなかった。この法大戦は、最初に負けたら勝ち点を獲れないと思ったからではないだろうか。
 これで少なくともあと2試合、法大戦がある。明日の先発は、誰だろう? 福井か、松下か、あるいは再び斎藤佑か。
 この3人のうちの誰かだとは思うが、ぼくの予想は「彼」である。
 ふと思ったのだけれど、この法大戦。應武監督はこの3人、それに大石、さらにワンポイント的に大前を使って、どの試合も継投で乗り切ろうとするかもしれない。
                     (谷川彬良)

9回裏二死、杉山同点二塁打

 早法1回戦は、2-2の引き分け。天秤はどちらにも傾かなかったとはいえ、試合後の両校ナインの心は何色だったろうか?

 初回に2点を先取し、その後も終始試合を優位に進めてきた法大は、2-1とリードの9回裏二死2塁から、杉山の同点二塁打を浴びた。
 マウンドにうずくまった先発・加賀美は、ここで降板。奮闘したエースに、法大側からだけでなく、早大側からも大きな拍手が送られた。
 リリーフした速球派の三嶋(一年)は土生に三遊間を破られ、「早大サヨナラ勝ちか」と思われたが、法大の好中継プレーで、本塁憤死。プロ併用日の規定により、9回引き分けとなった。

 引き分けとはいえ、ショックが大きいのは法大側だろう。加賀美は立大1回戦の逆転サヨナラ本塁打に続いて、今日も9回二死2塁から痛打を浴びた。
 杉山をポンポンと2ストライクに追い込んでから、一つ(?)ボールの後に打たれたもので、この好投手にして、なぜあと一人を討ち取れないのか、不思議である。リードして迎える9回がトラウマにならなければいいのだけれど……。

 しかし、加賀美だけを責めるのは可哀想だ。9回裏の法大は、守備固めにショートに長谷川を入れた。だが、その長谷川が、先頭打者・山田敏のゴロを一塁へ低投し、一塁手が確保できずにエラー。
 これがなければ、加賀美は完投勝利を挙げていたことだろう。法大は、今日、3エラー。(三塁難波、捕手石川、そして遊撃長谷川) せっかくの勝ちゲームを勝ち切ることができない。

 ――――――――――――――――――――

 法大のミスに助けられたとはいえ、早大はよくぞ引き分けた。一年生の杉山は、追い込まれながらも、加賀美のカーブ(?)によくついて行き、レフトへ弾き返した。
 今日は2安打。勝負強さに加え、4番原、5番宇高がまったくタイミングがとれていなかったことを考えると、明日はクリーンナップを打たせてもいいかもしれない。

 開幕試合に続いて、この大事な法大戦の初戦もマスクをかぶり続けた。背番号「6」へ、着々と地歩を固めているといってよいだろう。

 しかし、この試合、杉山は第2ヒーローだ。最大のヒーローは、山田敏だと思う。
 1回表、法大が2点先制した後の二死1、2塁で、左中間を破ろうかというライナーをレフトの山田は横っ飛びダイビングキャッチ。ドンぴしゃりの大ファインプレーで、追加点を阻んだ。
 抜けていれば、2点追加で4-0。9回裏に2点目を取るのがやっとだった早大であったのだから、このプレーがなければ1回にして“ゲームセット”になりかねなかったわけだ。

 なお、この試合、早大はもう一人の注目捕手・地引(一年)と、昨年の早実の主将・徳井がベンチ入りした。
                         (谷川彬良)

2009年4月25日 (土)

仕切りなおし

 東京六大学09年春季リーグ第3週の土曜日は、雨で中止となった。明日以降は東京地方は雨マークはなく、試合はできる模様。
 ただし、日曜日はやはり強風が吹き荒れそうで、早大、法大、慶大、明大の各打者は、風のいたずらを当てにした“フライ打法”を用いるのではないかと……。(笑)

 斎藤佑が「平成最速の20勝」に王手をかけていることもあり、早大、法大の優勝争いもあり、強風だろうが何だろうが、神宮球場は大いに盛り上がるものと思われる。

 さて、日曜、月曜に試合が行われることになったので、今日のぼくは仕事に集中。順調に進んで、心置きなく観戦できそうになってきた。
 スピーディーに仕事を進めるには、マーチをBGMにするに限る。今日は朝から、パソコンに取り込んである名曲マーチを流しながら、デスクに向かった。

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 その中の1曲に「星条旗よ永遠なれ」がある。「マーチ王」のスーザ作曲によるすばらしい旋律であり、アメリカ合衆国の「公式行進曲」にも制定されている格式の高い名曲だ。
 ぼくにとっては、「威風堂々第1番」(エルガー作曲)の次に好きな行進曲。何年か前、サントリーホールでプロのオーケストラの演奏を聴いたことがあるが、涙が出そうになるほど感動したものだ。そして、学生時代に、思い出のある曲でもある。

 ぼくが所属した吹奏楽部に、初心者のフルート吹きの男(Y)がいた。
 初心者であるから、もちろん下手くそ。吹奏楽よりは、野球応援で試合を観ることに重きを置くような、向上心のない奴であった。

 ところが、だ。一年以上も経ったある日、突然、音楽に目覚めた。合奏練習時間以外、多くの時間を練習に割くことなどなかったYが、一心不乱にある曲を練習をするようになったのである。
 その曲こそ、この「星条旗よ永遠なれ」だった。

 この曲には、ピッコロ(フルート奏者が持ち替えて演奏する、最も小さな管楽器)のソロがある。
 後半部分、静かに流れるメロディーの裏で、ピッコロが16分音符主体のオブリガートを奏でる。
 さらに、最後のグランディオーソの部分では、管楽器が派手にメロディーを吹き鳴らす大音量の裏で、最小の楽器であるピッコロがたった1本でその大音量を蹴散らして、メロディーに“勝つ”。まさに「蜂のひと刺し」の趣であり、フルート(ピッコロ)吹きの醍醐味、胸のすく場面だ。

 なぜYが、この曲を練習するようになったのか? 理由はたった一つ、同じフルートパートに入ってきた女の子のせいである。
 つまり、次の演奏会のプログラムに入っているこの曲を完璧に演奏することで、そのかわいい後輩に、良い所を見せたかったわけだ。
 何日も何日も、彼は一生懸命練習した。だが、元々のレベルが低いわけで、どう贔屓目に見ても「本番まで間に合いそうもない」と誰もが思うくらいの技量であった。

 本番当日、何人かいるフルートパートの中で、ソロの部分はYが任されることになった。
 演奏は、完璧ではなかった。16分音符の連続に、テンポからやや遅れてしまう部分があった。聴衆からすれば、「下手くそ」に聴こえたはずである。

 だが、それまでのYを知っているぼくら部員からすれば、“驚嘆”に値する演奏だった。
 よくぞここまで、吹けるようになったものだ、と部員全員が感動すら覚えたのである。

 異性の心をくすぐろうとした不埒な動機(笑)であったとしても、何か目標を持った人間はこんなにも一つのことに熱中できるのだなあと、気づかされた。
 男にとっての女、女にとっての男。その存在は、時に計り知れない力を生む。皆さんも、そんな経験がおありではないでしょうか? もちろん、ぼくにもあります。(笑)
                         (谷川彬良)

2009年4月24日 (金)

早法戦、どうやら水入り

 週末から予定されている東京六大学のプチ天王山・早法戦は、どうやら水入りになりそうである。土曜日は全国的に雨模様で、東京も一日雨の予報だ。
 ぼくはもう諦めて、月曜日にやる予定の仕事を、明日中にこなす方向に突き進んでいる。(笑)

 さて、この水入りがどちらに有利に働くのか、微妙なところだろう。
 第2週、試合のあった法大は、エース加賀美の回復には優位だろうが、野手陣にとってはせっかく中4日で臨める試合勘の“生温かさ”が冷めてしまうかもしれない。
 対法大戦は最後は勝ち点を奪っても、1回戦に敗れることの多かった早大側に、恵みの雨かな?、と思っているところである。

 日曜日、東京の天気予報は「晴れのち曇り」で試合は行われそうであるが、どうやら「強風」が吹き荒れそうとのこと。せっかくの好カード、しかも斎藤佑-加賀美の黄金対決が予想される試合だけに、風のいたずらで決着するようなことにならなければと心配している。
 あまりの強風ならば、連盟は「順延」の勇気をもってほしいと思うが……それは無理だろうなあ。

 ――――――――――――――――――――

 さて、野球とは無関係の話。
 昨日(23日)、NHKの正午と夜7時のニュース。トップニュースは何だったかご存知か? SMAPの草彅剛、逮捕のニュースであった。

 泥酔して、都会の公園で丸裸。奇声を発していて、通報でやってきた警察官にも抵抗して逮捕されてしまった。(この公園は何度か行ったことがあるが、とても居心地がいい)
 公然わいせつ罪は立派な罪であるけれども、もしも警察官に従順な態度を見せていたなら、逮捕まではなかったかな?

 逮捕から一日たって、彼に向けられた非難はトーンダウンしているようである。
 彼を擁護するつもりはないにしても、酒を飲んで気持ちが大きくなって、普段できないようなこと(犯罪になるようなことではなく)をやってしまった人はたくさんいるんだろうなあ、と思う。

 草彅剛の場合、前後不覚になるほど酔っ払って「どうして裸になったかわからない」と語っているようだが、真夜中の公園で周囲に人影はなし。
「裸になったって、かまわないだろう」くらいの気持ちは無意識のうちにあったかもしれない。結局、家宅捜索まで行われた結果、覚せい剤使用の可能性はなく、逃亡の恐れもないことから釈放された。

 真夜中の公園で丸裸――もし、彼のような有名人でなかったら、誰も見向きもしない話である。だが、有名人だけに、天下のNHKのトップニュースになってしまう。
 真昼の繁華街であればわかるが、誰もいない真夜中の公園なのである。裸になったことよりも、大声を出して周辺住人の安眠を奪ったことのほうが罪、くらいのものである。あんなに大々的に取り上げる必要はあったのか、と思う人は少なくないのではないか。

 まあ、NHKがトップニュースに取り上げたことの意味がないとは言わない。「酒の上のことだから」と、酒の上の悪さには甘いといわれるニッポン。
 酒の上であっても、「悪ふざけをしたら逮捕される」とアピールできたとしたなら、これほど効果のあるコマーシャルはなかっただろう。

 この言い方は問題かもしれないが、SMAPの中で、草彅剛は最も犯罪からは遠い場所にいるような人間に見える。
 人の良さそうな顔、柔らかな物言い。好印象を与えてきた人物だからこそ、CMにも多数起用される。
 しばらくの間は活動を自粛することになるのだろうが、復帰した際、彼をとがめる声がどのくらいあるか、ぼくは興味を持っている。
                                (谷川彬良)

2009年4月23日 (木)

さあ早法戦

 東京六大学野球09年春季リーグは、週末から第3週を迎える。
 早大-法大、慶大-明大のまだ勝ち点を落としていないチーム同士とあって、力関係を知る興味深い対戦である。
 慶大と明大の試合は長い時間を観ていないので、早大-法大戦についてだけ述べることにする。(早大、法大の今季5試合はすべて観た)

 ここ最近は、早大が勝ち点を奪っているものの、法大との対戦はいつも苦戦している。法大が5位に沈んだ昨年春、4位の秋も、紙一重の勝負となった。
 今季の法大は最上級生が多く、落ち着いた試合運びを見せている。またしても接戦になるような気がする。

●打撃力
 試合数が少なく、対戦相手も違うので単純に比較はできないが、打率は早大.306、法大.316の数字を残している。
 法大は3試合で犠打(犠飛も含む)が10。早大は3。法大は立大と競り合った試合をしたせいもあるが、送りバントを多用し、2回戦、3回戦は失敗がなかった(と思う)。
 ただし、法大の安打は当たり損ねや内野安打も多く、力強さという点では早大が勝る。「一発」を打てる打者も、早大に多い。
 大きく違うのは、盗塁数。法大は3試合で1、早大は2試合で10。走る意識の高い早大のほうが、チャンスを作れると思う。

●投手力
 早大は、斎藤佑、福井、大石、松下、大前ら。法大は、加賀美、二神、武内(まだかな?)、三嶋、藤田ら。質、量とも、六大学の双璧と言ってよく、互角だろう。
 気になるのは、四死球。法大は3試合で1つしか与えていないのに、早大は2試合で7つ与えている。
 それにしても、誰が先発してきても、見応えのある投手戦が展開されるのではないか。1回戦は斎藤佑-加賀美、2回戦は福井-二神と予想しているが、うっかり席を立てないようなぎりぎりの勝負になるかもしれない。

●守備力
 ここがポイントになりそうな気がする。早大は2試合で失策0。法大は3試合で失策5。守備力は、早大が勝ると見る。
 法大の弱点は、三遊間。三塁和泉は、1、2回戦で得点につながる失策をし、遊撃多木(一年)は3回戦で2失策した。
 ただし、和泉は3回戦ではレフトに回り、守備の布陣は落ち着いた。多木も本来、守備が悪くなさそうだし、守備だけなら長谷川を起用する手もある。

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 今季の法大は、優勝候補の2番手にいるかもしれない。その意味でも、この早法戦はまだ第3週とはいえ、“大勝負”と見ている。
 両校とも、有望な新入生もいて(早大・杉山、佐々木、法大・三嶋、多木)、しかも勝敗に絡みそうな予感もある。
 土曜日は空模様が怪しいけれど、面白い試合になりそうである。
                       (谷川彬良)

2009年4月22日 (水)

東京六大学、今季はどこが強い?

 東京六大学野球09年春季リーグは、第2週を終えた。6校すべてが顔を見せ、早大、慶大、法大、明大は各勝ち点1を取り、東大、立大は勝ち点を2つ落として早くも優勝争いから脱落した。
 まだ試合数が少ないけれども、ここまでの戦いぶりから、簡単に各校の印象を。

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●東大
 エース鈴木の離脱が痛い(左ひじ痛との報道がスポニチにありました。 >外苑西通りの狼様)。しかし、エースがいない明大戦は投手陣が奮起して、大接戦を繰り広げたのは立派。
 早大戦では田中捕手の守備がおぼつかなかったが、経験を積むごとに良くなってきた。肩もまずまずである。
 昨年よりも打線が良いようだし、鈴木が復帰したら面白い戦いをしてくれるんじゃないだろうか。

●立大
 創部100周年。勝ち点を連続で落としたのは痛恨だろう。
 1回戦はエース戸村で勝てるものの、二番手投手が力不足。戸村にしても、3回戦ではスタミナ不足なのか、手の内を読まれてしまうのか、打ち込まれてしまう。
 打線もあまり調子が良くないようだ。

●明大
 東大と大接戦の末、勝ち点を獲った。エース野村は昨年に続いて好調を維持しているようだが、二番手投手の力は落ちる。
 打線は安打が少なく、迫力も感じられないが、最初のカードだったので調子がつかめていないだけかもしれない。
 しかし、チーム力は昨年よりも下? ただし、エース野村の奮闘で、優勝争いに絡む可能性もあるだろう。

●法大
 加賀美、二神が実力どおりの投球を見せた。藤田、西といった救援陣はバラエティに富み、先日は三嶋、三上といった下級生がすぐにも活躍できそうな投球をした。
 ここに調整不足で出遅れた武内が加わってくるとなれば、相当な布陣。投手力の厚味は、早大と双璧ではないか。
 攻撃陣も今季は送りバントを多用し、得点の匂いを感じる。ただし、内野安打などラッキーな安打も多い。

●慶大
 エース中林が大黒柱の働きをしている。最上級生になって、中心選手の自覚十分と見た。
 立大との1回戦は完封負けしたものの、2、3回戦で計20点。四年生が多く残る攻撃陣だけに粘っこく、得点力はそこそこありそうである。

●早大
 東大戦は、斎藤佑樹と福井が「先発二本柱」と言ってよい十分な投球を見せた。救援の大石も磐石。松下、大前らも控えており、不安はない。
 ドラフト3人組が抜けて心配された攻撃陣も、心配したほどの地盤沈下はなさそう。好投手と当たるこれからが真価を問われるわけだけれど、昨年まで出番が少なかった後藤、山田、土生、新人の杉山、佐々木といったあたりに期待がもてる。
 唯一の懸念は、経験の少ない捕手陣か。勝負どころで守備のほころびがないといいのだが。
 それでも、優勝候補筆頭であることには変わりない。

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 野球の話ではない。今日、驚いたことがあったので少しだけ。

 娘が「膝が痛い」というので、近くの医院に付き添った。足を曲げると膝の周辺がかなり痛み、歩くのにも難儀する状態。家の階段も、やっとこ上がっていた。
「膝に少しだけ水が溜まっていますね」と初老の男性医師が言う。「注射をしましょう」と、膝の周りに10本ほど小さな注射を繰り返した。

 そして、「さあ、歩いてごらん」
 そんな、注射を打ち終わったばかりで……と半信半疑で見ていると、娘はスイスイと歩いた。「ええっ?」ってなものである。痛みはきれいに消えていた。これには驚いた。

 水を抜いたのではなく、炎症を抑える薬を打ったということだ。
「この注射は、私にしかできないんだよ」と自信満々に言う。先日は、今をときめく女優のお母さんが、この注射のおかげで治ったそうだ。
 膝ではなくて、顔面に神経系の不具合が起きて、他の大きな病院で手術日まで決まっていたらしいが、この医師の注射一発で手術回避。嘘のように元通りになったという。

 医師によれば、膝痛、腰痛、肩こり……といったものは、この注射で治せるという。
 ぼくの妻は、頑固な肩こりだし、腰に不具合も抱えている(ぎっくり腰をやったことがある)。「治してあげるから、奥さんも連れておいで」。
 妻は外出中で、帰ってくるのは来週。帰ってきたら、この医院(家からすぐそばだ)に行くよう、進言することにする。
                    (谷川彬良)

2009年4月20日 (月)

快速球投手、神宮に登場

 09年東京六大学野球・法立3回戦は8-1で法政が勝ち、勝ち点1とした。
 創部100周年の記念年の立教は、慶大戦に続いて勝ち点を落とし、早くも優勝争いから脱落した。慶大戦、法大戦とも1回戦を取りながら、連敗をしてしまった。

 立教は、先発型でありながら(ぼくが勝手に思っている)、今季リリーフ登板ばかりの仁平がようやく先発。だが、不安定な立ち上がりで初回4失点。
 以後も調子は上がらず、4回無死、ピンチを残して降板した。斎藤佑樹の好敵手、どうした?
 リリーフしたエース戸村も、2回で4安打を打たれ、立教は勝負どころの3回戦、慶大戦に続いて大敗となった。

 一方の法政は、昨季よりも戦力が充実していると見る。この3試合、いずれも2ケタ安打。得点力はかなり上がっているのではあるまいか。
 1回戦、逆転サヨナラ本塁打を浴びた加賀美は、この日は序盤にリードをもらったこともあって、90キロ台のカーブも交え、楽しむかのようなピッチング。8点差となり、5回で降板した。

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 さて、本日のハイライトは、終盤に登場した法大の本格派右腕二人。
 8回の1イニングを投げた三上(県岐阜商・二年)は、190センチの長身から145キロ程度の速球を投げ下ろす。一度、「156キロ」の球速表示が出たのだけれど、これは誤表示ではあるまいか? 150キロを超えたのはその1球だけで、あとは140キロ台半ばであった。
 本当だとしたら、大学生投手としての最速新記録である。(現在の記録は154キロだったと思うが、違ったかな?)

 その三上よりも鮮烈だったのは、9回の1イニングを投げた三嶋(福岡工・一年)だ。
 投球練習を見ていて「こりゃ速いぞ」と思い、打者と対戦しての球速表示を楽しみにしていたのだけれど、最初の3球は表示されず。(速すぎて計測不能?)
 やっと表示されるようになり、140キロ台半ばが何球か続いた後、次なる球は「154キロ」。その後にも「152キロ」を計測したから、この154キロは本物だと思う。

 この法立戦、ぼくは3試合とも観戦してしまったことになるが、一番のお目当てはこの三嶋だった。
 社会人対抗戦で153キロをマークしたと報道されており、どんな投手かこの目で確かめたかったのだ。

 大きくはない体(174センチ)から、速いモーションで投げてくる。阪急で活躍した山口高志のようなイメージか。(彼ほどのダイナミックさはないが)
 どこの大学の選手であれ、レベルの高いプレーを見るのは嬉しいことである。

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 今週末の早法戦は、優勝に向けてどちらも落とせないカードだ。
 最多優勝回数42回を誇る法大は、41回の早大の優勝をなんとしても阻止したいし、早大はそれに並びたい。熱戦が展開されることになるだろう。

 しかし、速球派の多い両校の投手陣だけに、勝敗は抜きにしても見ごたえがあると思う。
 試合をご覧になられる方は、ぜひそのあたりにも注目していただきたいものだ。
                      (谷川彬良)

2009年4月18日 (土)

法大・加賀美、逆転サヨナラ喰らう

 東京六大学野球09年春季リーグ第2週は、東大-明大、法大-立大の対戦。昨日の予報ほど気温は上がらなかったようで、まずまずの観戦日和であった。
 法立戦のみ観戦予定にしていたのだけれど、東大-明大の速報を見たら、6回を終わって1-1。しかも、明大のラインナップに「8番遊撃手・上本」。そう、今年早大を卒業して阪神入りした上本博紀の弟のデビュー戦だ。
 兄と同様、一年春の開幕戦からスタメン。このまま卒業まで、兄弟揃ってフルイニング出場を続けるか? その最初の試合を見なくてはと、そそくさと昼食を済ませ、神宮に駆けつけた。

 球場に到着した時には、9回表3-2でリードしていた明大が、さらに1点追加。先発の野村は、6安打16奪三振で完投勝ち。
 ただし、昨年から続いていた連続イニング無失点は途切れた。

 デビュー戦の上本は、3打数ノーヒット。失策1が記録されたが、目の前でイレギュラーしたゴロであり、あれがエラーではかわいそう。
 また、明大は3番に謝敷(三年、大阪桐蔭)が入った。06年夏の甲子園で斎藤佑樹(早大)と対戦しており、今リーグでの対戦が楽しみである。

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 法大-立大戦は、加賀美-戸村の投手戦で6回まで0-0。2-1で法大リードの9回裏二死2塁、立大は代打・大林がライトへ逆転サヨナラホームランを放った。
 注目の加賀美は10三振を奪う好投だったが、勝利目前でうっちゃられた。

 二神、武内とプロ球団から注目される四年生投手2人がいながら、開幕投手に指名された加賀美(三年)であったが、詰めを誤った感が強い。
 9回、先頭打者にヒットを許し、送りバントで二進。二死としたものの、代打大林に内角球で勝負に出て、ライトへ被弾した。

 昨年、一年生ながら4番を打ったこともある打者に、この場面で内角はどうだったか? 
 外角を狙ってのコントロールミスかもしれないが、この試合、四球0だった加賀美。制球はまずまずであったから、やはり内角で勝負にいったのではないか、と見る。

 法大は強いと思っていたが、今日の戦いぶりはあちこちに隙が見えた。
 送りバント3回のうち、成功したのは最初の1回のみ。
 7回、ようやく1点先取した後の守りでは、二死2塁でサード正面のイージーゴロを和泉(四年)が一塁へ高投し、同点を許す。この時、カバーした一塁手は本塁へ投げようともせず……。

 法大の中盤の攻撃で、二死で三塁にランナーを置いた場面。立大投手のワンバウンドの暴投が捕手を通り越したのだが、主審に当たってボールはその場にとどまって、三塁ランナーはホームインできず。
 試合内容は法大が上回っていたが、運にも見放されていたといえる。

 逆転サヨナラホームランは、大学野球ではそう簡単に出るものではないが、昨春も左打者のライトへの同じような逆転サヨナラホームランを見た。
 打たれた大学は、優勝できなかったけれど、今季の法大はどうなのか?

 ところで、明大・上本と同様、法大も一年生の多木(坂出)が8番遊撃手でスタメン出場。4打席ノーヒットで途中から退いたが、良い当たりも見せていた。
 優勝争いとは別に、早大・杉山、明大・上本、法大・多木ら、新人選手の活躍も楽しみにしたい。
 もう一つ、今日敗れたとはいえ、好投した加賀美は、来週の早法1回戦に先発してくる可能性が高いだろう。昨秋、決着のついていない斎藤佑vs加賀美(9回を投げ合って、0-0。延長で早大は勝つが、斎藤は9回終了時にマウンドを降りた)の再戦が、どうやら見られそうである。
                       (谷川彬良)

2009年4月15日 (水)

「罰走」は本当に“罰”なのか?

 昨年の秋の六大学野球リーグ戦で、早大・小島宏が送りバントを失敗し、神宮球場から早大野球部グラウンド(西東京市・東伏見)まで「罰」としてランニングで帰るよう命じられたことがある。
 距離は20キロ弱というところか。素人には途方もない道のりであって、「大変だなあ」と思うしかない。

 しかし、どうなんだろう。走るのが好きな人間だったら、命じた側が考えるほど「罰」とは感じないのであるまいか?
 神宮→東伏見。地図をざっと見たところ、新宿から青梅街道に入るのが一番分かりやすいルートだろうか。このルートを走ったとすれば、中野坂上(笑)や荻窪あたりを抜けていくことになる。

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 ぼくが若い頃、夜11時頃になると、ジョギングをしていたことがある。走り始めは苦しくても、その生活リズムに慣れてくると、走るのが気持ちよくなってくる。その日のランニングの中でも、「苦しい」だけではなく「気持ちがいい」と感じる時間がある。
 だから、これまで何人の選手が神宮球場から練習場まで帰ったかは知らないが、彼らの中にも「罰走って、楽しいじゃん」と感じた選手がいたって、おかしくないと思うのだ。(無理がある? 笑)

 でも、「走るのが楽しい」は、昨今のマラソンブームを見れば明らかなところである。
 三井住友カードの機関誌「VISA」(5月号)に、ノンフィクションライターの最相葉月氏が「ランニングブーム」について触れていらっしゃる。
 少し引用させていただくと、「ランニングブームを憎めないのは、チャリティを兼ねたレースが増えているし、なにより走る本人たちが楽しそうだからだ」と書いている。
 そうなのだ、記録を狙う一流選手はいざ知らず、一般ランナーにとって、走ることは楽しいのである。

 しかし、最相氏は、こうも書いている。
「耳にイヤホン、ひらひら飾りがついたウエア、一丁前にオーダーメイドの靴なんぞ履いている。で、終わったら飲み会ですか。本当は飲み会やりたいから走ってるんじゃないですか」
 いやに手厳しいなあと思っていたら、すぐ後に、「……いや、うちの夫のことだ」の一言が付け加えられていた。(笑)

 ご主人様はあちこちのマラソン大会に出場されるらしく、変なデザインの参加賞Tシャツが増える一方とか。
 でも、月曜に締め切りを抱える最相氏は、「週末遊んであげられない妻としては、夫が家でゴロゴロしているよりずっと気は楽。ラン・フォーエヴァーの精神でがんばっていただきたい」と結んでいる。

 時代は移り変わっても、「亭主元気で留守がいい」は、奥さま連の永遠の願望なのでありましょう。

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 さて、話を元に戻すが、「罰走」を「楽しい」と感じることは、やはりないんでしょうね。東京マラソンの一般ランナーのように、カメラに向かって楽しげに手を振るなんて、自発で、好きなペースで走るからこそである。
 練習、試合、そしてミス。怒った監督から「罰走」の命令。疲れた身体でほぼハーフマラソンを走る早大選手が「楽しい」と感じるわけがない。もっとも肉体的というよりは、精神的な“罰”なのだろうけれど。

 今季、罰走を命じられる選手が一人も出ず、優勝に突っ走ってもらいたいものである。
                                (谷川彬良)

(余談: 若い頃、ジョギングをしていたこともあるぼくは、最近はやらず。「走る」はぼくにとって“強い”運動であるらしく、翌日、疲れが出てしまうのだ。
 で、このところ運動らしきものとしては、自転車と速足くらいのものか。自転車は20分漕げば「運動」になるらしい。自転車は身体に負担が少ないにもかかわらず、そこそこの運動になっているという。だったら、少しでも「楽」なほうがいいでしょう? 
 もっとも、身体を鍛えようというのに「楽」につられてしまうのは、ケシカランというか、情けないというか……。 笑)

早大・小島宏、見違える活躍

 09年春の東京六大学野球が開幕し、前季覇者の早大は東大に連勝して勝ち点1。法大のもつリーグ最多優勝記録(42回)に並ぶべく、順調なスタートを切った。

 打線で最も数字を残したのは、小島宏(四年)である。この2試合で、9打数6安打、打点7。リーグ戦は昨年まで、39試合に出場して、108打数22安打(.204)、打点9であったから、一気にブレークした印象である。
 昨年春は打率.286で、細山田と並んでリーグ6位の成績を残したが、秋は送りバントを失敗して東伏見までの「罰走」を課せられたり、ベンチ入りさせてもらえない屈辱も味わった。

 だが、今年になって、オープン戦でも成績を残し、リーグ戦でもこの大活躍。卒業した四年生の中に、小島の頭を押さえつけていた選手がいたわけではないだろうが(笑)、伸び伸びとしていて何か悩みが吹っ切れたような印象を受ける。
 数少ないベンチ入り四年生野手として、経験は一番豊富である。主将の山川と一緒に、「おれが引っ張らなければ」の気持ちは強いだろう。

 試合前のノックで、強肩を見せてくれる。昨年は、松本啓がいたものだからそれほど目立ってはいないが、小島の肩も相当なもの。
 遠投に限っていえば、松本啓が120メートルなのに対し、小島は125メートルである。神宮に行かれる方は、小島(と土生も)の肩に注目されるとよいと思う。

 この東大戦は、左腕・鈴木の先発が予想されたため打順は2番であったが、主力投手に右が多い法大戦は、トップバッターで出場することになるだろうか。
 東大戦では、1、2回戦とも盗塁を決めており、足も試運転済みだ。

 四年生が活躍するチームは強い、と言われる。“谷間”ともささやかれた代ではあるが、山川とこの小島にはプレーでも、精神面でも、ガンガン引っ張っていってもらいたいものである。
                     (谷川彬良)

2009年4月14日 (火)

早大-東大、観戦雑記

 東京六大学野球09年春季リーグ戦の開幕カード、早大-東大を観戦して感じたことを簡単に。

 昨年あたりと違い、コンバットマーチのテンポが明らかに遅い。ブラスの指揮者の問題ではなく、リーダー部の意向が反映していると思われる。でなければ、「もっと速くしてくれ」とすぐにクレームがつくはずである。だが、毎回同じテンポであった。
 おそらく、リーダーの振り(腕の突き出しとか)がこのテンポのほうが“決まる”のではないか。
 でも、記憶違いかもしれないが、以前はこのくらいのゆったりテンポではなかったかなあ、という気もする。

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 観客席が、今年は静かな気がする。どうしてだろう?、と考えてみたところ、選手に声を掛ける観客があまりいないことに気づいた。
 昨年は、「ホッソヤッマダーッ!」の声があちこちから挙がったけれど、今年は彼に代わる選手がいないということか。
 ドラフト3人組らが抜けた後釜の実力を見極めようと、選手の一挙手一投足に集中している人が多いような気もする。細山田のように、誰か“オモロイ”選手はいないものだろうか?(笑) 

 2回戦では、近くから聞こえてくる会話に、ついつい集中してしまった。女性と男性の二人連れでいらっしゃるのだが、どちらも早実の選手や過去のプレーについてもお詳しく、しばしそのあたりの話で盛り上がっていたのである。
 チラリとお顔を拝見したところ、お二人とも先ごろ甲子園(早実-天理戦)でお見かけした方だった(と思う)。

 女性は甲子園の三塁側(早実側)内野席に一人でいらっしゃり、男性はアルプススタンドで応援なさっていた。
 年齢はずいぶん離れていらっしゃり(女性は20代、男性は40代か50代?)、ご夫婦やご家族ではないと思われる。お互いに、言葉遣いが敬語基調なのである。

 今年の早大は、早実出身者がたくさん登場する。早大・早実の両方のファンにとっては、ことさら楽しめるリーグ戦になってくれそうである。
                 (谷川彬良)

2009年4月13日 (月)

早大一年生・佐々木、“振らず”に勝負する男

 東京六大学野球09年春の開幕カード(早大-東大)の3打席で、彼はバットを振っていない(と思う)。それでいて、1安打、失策で出塁、死球と、すべての打席で出塁している。
 早実出身の一年生・佐々木孝樹(外野手)。1回戦は、無死1、2塁に代打で登場。一塁前にセーフティバントを転がして、無死満塁とチャンスを拡大。
 2回戦の最初の打席は、バント処理を焦った投手の悪送球を誘い、一塁セーフ。(記録はエラー)
 2打席目は、バント処理に備えようと投げ急いだのか、バントの構えを見せる佐々木の内角に来て死球、となった。

 早実時代は左右打ちで、右打席で力強いスイングを見せ、長打も放っていた。しかし、左のスイングは力なく、結果を残せず。昨年は、まったく左打席に立っていない。(と思う)
 だが、早大に進んで、ここまで3打席はすべて「左」。しかも、徹底してセーフティバントを見せる。
 オープン戦でスイングの有無は知らないけれど、リーグ戦のこの2試合を見ると、バントの奥義を極めようとするかのような姿勢にも見える。

 いつかは“振る”ことになるだろうけれど、相手がバント守備を敷いても、その間隙を突いて生きてしまおうというのか。
 これは面白い。優秀な打者だって、10回のうち3回のヒット。佐々木の足をもってすれば、“振らず”に3回、4回のヒットが可能なのではないかと思えてくる。

 もしかすると、應武監督の指示なのか。今のリーグ戦は各校ともレベルの高いエースを抱えており、膠着状態に陥る可能性がある。
 そんな状況下、この佐々木で相手内野陣を引っ掻き回し、チャンスの芽を作る。あるいは三塁にランナーを置いた場面で、代打に送る。相手にとっては、イヤラシイだろう。
 次の試合は第3週の対法大。強力投手陣を抱えるだけに、佐々木が光る場面も出てくるのではないか。

 また、対立大戦で仁平との対戦も、ぼくは大いに楽しみにしている。
 早実が全国優勝を果たした06年の西東京大会準決勝で、早実は日大鶴ヶ丘と対戦した。
 4-4で迎えた9回裏、早実の攻撃は一死満塁。打者は斎藤佑樹。しかし、斎藤はボテボテの三塁ゴロで、ホーム封殺。これで二死満塁。延長は必至と思われた。

 なぜなら、打者は代走から守備に入っていた一年生の佐々木。なんと、これが公式戦初打席なのだ。
 だが、佐々木の打球は当たりこそ良くなかったが、一二塁間をゴロで抜けてライト前へ。歓喜のサヨナラ勝ちとなって、決勝へ駒を進めたのである。
 この時、佐々木は右打席。投手は仁平(立大)だった。

 それについて書いた記事はこちら。
      ↓ 
http://nejimaki-no-uta.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_9ffd.html 

                      (谷川彬良) 

後藤・リーグ戦初本塁打、4打点

 ヒーローインタビューに呼ばれたのは、この男だった。早実が夏の甲子園で全国優勝を果たした時の主将・後藤貴司である。

 1回、山田の二塁打で先制した後、レフトフェンスの金網直撃の2点二塁打。6回には、公式戦初本塁打となる2ランを、左中間に叩き込んだ。
 選球眼が良く、その裏返しで「もっと積極的に打っていけばいいのに」と思わせることもあるが、今日はきっちりと結果を出した。

 3番山田、4番原、5番宇高、6番後藤と並べた右4人は、長打が期待できる重量打線。東大戦以外でどのくらいの結果を残せるかが問題だけれど、昨年と比べて「打線が弱くなった」とは今のところ感じない。

 その前を打つ小島宏は、まさに絶好調だ。1回戦の2安打1打点に続き、2回戦は4安打6打点。
 昨年の秋、ベンチを外されたこともある男が、伸び伸びと野球をやっている。
                  (谷川彬良)

早大・福井、器の違い見せる投球

 4月12日、東京六大学リーグ戦・早大-東大2回戦で、早大の先発福井が好投した。
 立ち上がり第1球を変化球(スライダー)で入った後、150キロ前後の力のある直球を連発。6回を投げて、4安打11奪三振。「素質は斎藤佑樹以上」とも言われる実力を、見せてくれた。

 ただし、四球も5つ。2回、押し出し四球を与え、“福井劇場”の幕が開きかけたのだけれど、きちんと自分で幕引きをした。
 これまでは一度崩れたリズムを元に戻せないケースが多かっただけに、成長の後をうかがわせた。
 不思議なのは、下位打線になるとコントロールが甘くなる点。簡単に片付けようと思うのか、力んだ直球がほとんど高めに浮いた。

 しかし、その直球も後半は低目に集まるようになり、安心して見ていられる様になった。

 先発かとも思われた「11番」松下は、2回を1安打3三振。無難な投球だった。ただし、好調とは言えないだろう。直球は最速140キロは出なかった(と思う)。
 昨年までは、ポンポンと短いインターバルで投げ込んだけれど、少しテンポがゆっくりか。捕手のサインを出すタイミングなどが影響しているのかもしれない。これから呼吸が合ってくるだろう。

 二番手で登板の左腕・大前は、カーブ主体のピッチング。ストレートは最速130キロに届いたかどうか、というところ。
 こちらも、まだ本調子ではないのではないか。
                    (谷川彬良)

2009年4月11日 (土)

斎藤佑樹、今年は打撃も期待?

 早大-東大の開幕戦で、斎藤佑樹は3打数1安打。三遊間の真ん中を抜ける、きれいなヒットを打った。
 先日の社会人対抗戦でも、同じようなヒットを打っている。

 昨年、打撃面は期待薄だったことを思えば、上々の滑り出しと言えるであろう。
 スイングそのものに力強さはなく、本塁打が飛び出しそうな雰囲気はないけれど、タイミングの取り方が今年は良くなっているのかもしれない。

 ところで、斎藤がヒットを打った打席でのこと。ヒットが生まれたのは、確か2球目だったのだけれど、初球は空振り。昨年、何度か見られた、あの力ないスイングだったのである。

 その時、ぼくの近くから、
「ほら、あれが“ふんわりスイング”だ」
 という声が聞こえてきた。(笑)

 声の主を振り返ると、60歳くらいの男性である。ぼくと同じ表現を使っていたことに、驚いた次第。(笑)
                   (谷川彬良)

六大学開幕戦、早実出身7選手が登場

 4月11日に開幕した09年東京六大学野球リーグの開幕戦(早大-東大)に、早実出身の7選手が出場した。
 スタメンでは、斎藤佑樹、山田、後藤。途中から、川西、新佐古、佐々木、白川。(登場順)

 代走から守備につき、そして打席が回ってきた佐々木(一年生)は、無死1、2塁で投前にバント。“送り”ではなく、自分も生きようというセーフティバント。見事にリーグ戦初打席でヒットを稼いだ。
 この佐々木も、全国制覇した“あの夏”に、一年生ながらベンチ入りしていた選手。守備が良い快足外野手で、相手守備陣を引っ掻き回せる存在になるのではあるまいか。
 オープン戦や社会人対抗戦でも、盛んにバントヒットを狙っていた。バットを“振らず”に勝負できる打者は、数少ない。今日は初盗塁も記録。スピードスターとして、期待している。

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 甲子園の優勝捕手が、ようやくリーグ戦デビューを果たした。
 昨年は後輩の市丸に、そして今日の開幕戦はさらに後輩の杉山に、リーグ戦出場の先を越された。

 8回、背番号「26番」の白川が、ホームベースに向かうと、スタンドの一部から拍手が起こった。そして、「キャッチャーは白川君」の場内アナウンスで、その拍手は一段と大きくなった。

 マウンドには、この回からリリーフの守護神・大石。試合終了までの2イニングを無難にリードした。
 斎藤佑との優勝バッテリーは“すれ違い”で再現とはならなかったが、近いうちにSSバッテリーが見られそうな気がする。
 2年間、控えにも腐らずに努力してきた白川。今日、その一つが報われた。

 ちなみに、今日の捕手陣は、市丸(背番号28)がベンチ入り。一年生・地引は、背番号40を着けて、ブルペンに入っていた。
                      (谷川彬良)

早大開幕戦、連覇へ白星スタート

 東京六大学野球09年春季リーグ戦が開幕した。初夏をも飛び越し、日陰が恋しいくらい。半袖でも暑いくらいの強い日差しが、神宮球場に降り注いだ。

 開幕試合の早大-東大は、11-0で早大の大勝。12安打に加え、12四死球とくれば、このくらいの得点は入る。
 5番を打った宇高は、信頼できる打者になった。1、2打席とも、チャンスで左へ二塁打。序盤4点のうち、3点を叩き出した。中盤、東大先発の鈴木は立ち直ってきたので、この打撃は大きかった。
 打点を稼げる打者。体型的なこともあり、一昨年の主将・田中幸長の雰囲気が出てきたように思う。これは最大級のほめ言葉である。

 注目の開幕捕手は、一年生の杉山(27番)だった。打席では4-0、2三振。盗塁も3つ許してしまった。
 だが、タイミングはアウトだったのに、ワンバウンドとなってセーフになった場面があり、潜在能力の高さは感じさせる。走者二塁のピンチでは、飛び出したランナーを好送球で刺した。

 杉山は7回までマスクをかぶり、8回の打席で代打(川西)が送られた。観客席の一部がざわつき始めた。杉山が交代したということは、白川の登場ではないのか? いよいよ“あの夏”の甲子園優勝バッテリーが再現されるのではないか――の期待が高まった。
 しかし……斎藤佑樹の打席でも代打(渡邊侑)が送られた。SSバッテリーの再現は、後日に持ち越しとなった。

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 先発の斎藤佑樹は、最速144キロ程度。3回まではテンポ良く打者9人で押さえ込んだが、4回、先頭の一番打者に初ヒットを打たれてから、制球が不安定になった。
 5番打者の古垣にはファウルファウルで粘られ、10球以上投げさせられたのではあるまいか。
 しかし、ピンチは1、3塁まで拡大されたが、何とか切り抜けた。“魔の4回”は、最近の早実の試合で、エース小野田がいつも見せるパターン。まさか、早実の伝統ではあるまいが……。(笑)

 この回の途中、捕手杉山は應武監督にベンチ前に呼ばれ、アドバイスを受けた。捕手出身の監督だけに、いろいろと目に付くことがあるのだろう。
 この回終了後には、杉山と斎藤佑がベンチ前で、監督からアドバイスを受けていた。
 回の途中で捕手を呼ぶことは、珍しい。後からではなく、直面した場面を前に修正することで、早く一本立ちさせたいのかもしれない。

 7回を投げた斎藤は、3安打、10奪三振でリーグ通算19勝目となった。
                 (谷川彬良)  

2009年4月10日 (金)

開幕前夜に

 六大学野球は、いよいよ明日開幕である。昨年の春季リーグ戦は、斎藤佑樹が天下分け目の明大3回戦で負傷退場して、優勝を逸したことが強く印象に残っている。
 どの大学の選手も負傷することなく、実力が発揮できることを祈る。

 さて、開幕投手は?、スタメン捕手は?、と非常に気になるところだ。
 スタメン発表が、じつに待ち遠しい――と考えていて、ふと思い出したことがある。

 2年前の秋、神宮球場で隣り合わせた方(女性)と少し話をしながら観戦したことがある。
 年齢は中年。ぼくとほぼ同年齢くらいかと思われた。それまでにも、ご家族数人と観戦なさっている姿を何度かお見かけしたことがあるのだが、平日のその試合は一人で応援されていた。

 たまたま隣にいらっしゃったので、「どの選手のファンなんですか?」と問うと、意外な言葉が返ってきた。
「野球部に甥っ子がいるんです」

 この言葉には、はっとさせられた。そうなのだ。神宮球場は、その他大勢のファン(ぼくもそうだ)だけではなくて、選手の家族やこの方のように親戚や、親しい友人たちがたくさん訪れて応援しているのである。
 考えてみれば、当然のことである。自分の子どもや、ごく近い関係にある人物が選手であったなら、応援に駆けつけるに違いない。

 ――――――――――――――――――――

 試合前のスタメン発表で、予想と違う選手名がコールされた時に、「エエー!?」と声を出したり、いかにも残念そうにため息を漏らす人が時折いる。
 そう大きな声や音ではないから、グラウンドの選手の耳にまでは届くまい。

 だが、観客席にいる選手の家族や親戚といった人たちには、聞こえてしまっているかもしれないのだ。もしかしたら、隣にいる人がそうかもしれないのだから。
 自分が親だとして、子どもの名前がコールされた直後、周囲から残念そうな声やため息が聞こえたら、どんなに悲しいことだろう。

 試合中の口汚い野次にも、同じことが言える。自分の身内の選手がいわれのない罵り方をされていたら、どんなに悔しいだろう――と。

 その方とは、その後も一緒に観戦する機会があったけれども、お会いするたびに自戒を込めてそのことを思い出す。
「予想と違う選手だった時、ぼくはため息を漏らしていなかっただろうか?」

 さあ、明日の開幕戦。ぼくの頭には、投手も捕手も、他の野手も、スタメンの顔ぶれが浮かんでいる。
 でも、予想と顔ぶれが違おうと、ため息を漏らしたりはしない。そもそも、誰が出てこようと、楽しみな選手たちばかりなのだから。
                       (谷川彬良) 

2009年4月 9日 (木)

東京六大学野球09年春、さあ開幕へ

 4月11日、東京六大学野球09年春季リーグが開幕する。今日(4月9日)は全国的に暖かく、夏日になったところもあったそう。東京も25度近くまで上昇し、初夏をも思わせた。
 午後、仕事の手を休めて、自転車で代々木公園へ。気分も軽く、いつもの重い財布(あ、小銭で重いだけのことです。 笑)を軽い財布(京都の一澤帆布製のもの。友人にいただいた愛用品)に持ち替えて、自転車散歩である。
1545429_img  桜は盛りを過ぎているが、まだ花見客がそこそこいた。写真は、花弁が白っぽい桜である。

 ――――――――――――――――――――

 さて、今季リーグ戦は、連覇を狙う早大を中心とした戦いが繰り広げられるだろうか? 
 各校、戦力拮抗の気配もあり、早大が優勝するにしても、簡単にはいかないだろう。1点を争う、白熱した試合を期待したい。

 早大に関して、ぼくが最も注目しているのは、「正捕手は誰か」である。
 ここ2年、「開幕の先発投手は、どちらの“S”だろう?」とぼくは悩んだ。一昨年は新入生のS(斎藤佑樹)、昨年はエースナンバーのS(須田)であった。
 須田の卒業によって、「どちらのS?」の台詞はお役御免になるはずだったのだが、今年も「どちらのSだろう?」とぼくは呟いている。投手ではなく、捕手のことだ。

 いや、この二人のS以外にも、スタメン候補の捕手がいるのだから、なんと贅沢なことであるか。普通、正捕手が決まっていない状況というものは、どんぐりの背比べ(低レベルの争い)であることが多いと思うのだが、今季の早大の場合、レベルが高い競争になっているようだ。(実際にプレーを見たのは、一年生のSだけだけれど、もしも彼を差し置いて誰かが正捕手を務めるなら、かなりの実力を持った捕手ということになる)

 開幕試合のスタメン発表(選手の居場所を見ていれば、発表前に分かるものだが)の時には、どよめきが起こるのではないだろうか。開幕捕手は誰か?、は、多くのファンの関心事であろうと思われる。
 ただし、「開幕スタメン捕手=正捕手」かどうかは、分からない。3人、あるいは4人の力が接近しているようなら、それぞれにチャンスを与え、試合の中で本当の実力を測ることになるだろうからだ。
 それとも、捕手出身の應武監督は、すでに誰がナンバーワンかを見切っているだろうか? 多少荒削りでも、将来性を見込んで使ってくるだろうか? 監督がどんな判断をしているか、興味深い。

 開幕捕手のことばかり書いてきたけれど、開幕投手は「S」君でガチガチだろう。いや、それともエースナンバーの「M」君の線もあるかな?
 さて、晴れの開幕投手予想。あなたは「S」、それとも「M」?(SとMって……なにやら微妙な表現になってしまったでしょうか? 笑)
                    (谷川彬良) 

2009年4月 8日 (水)

早実に球運なし、春季大会敗退

 4月8日に行われた高校野球の春季都大会・早実-八王子は、4-1で八王子の勝ち。早実はベスト16入りならず。

 先攻の早実は、1回、2回の共に無死1、2塁のチャンスに1点も奪えなかったのが、最後まで響いた。
 1回はバントで送って一死2、3塁とするも、小野田のライトフライでホームへスタートを切った大野が途中でUターン。足を滑らせ、三塁タッチアウトでチャンスをつぶす。
 2回は無死1、2塁から送りバントが決めることができなかった。

 八王子先発の左投手(11番)は制球難で苦しんでおり、早実はここで主導権を握りたかった。3回に中野のレフト前タイムリーで先制するも、すぐその裏に追いつかれた。
 4回、小野田は簡単に二死とするが、9番打者にストレートの四球。盗塁を決められ、センターオーバーの二塁打で勝ち越しを許す。

 小野田はこのところ4回、5回といった中盤に必ずといってよいほど崩れる。二死無走者、9番打者。これほど楽に投げられる場面はないのに、ストライクが入らないとは……。

 勝ち越された後、回の途中からバトンタッチを受けた鈴木は、6回、7回に1点ずつを失う。
 八王子の攻撃は、6回はフラフラッと上がったレフト線への飛球が二塁打、7回はゆるいゴロをさばこうとした深澤の前で三塁ベースに当たるヒットで、どちらも先頭打者が出塁。追加点につながった。このあたり、早実に運のなさも感じた。

 しかし、八王子の勝利がまぐれだと言うつもりは毛頭ない。毎年、強いチームを作ってくる。リリーフした背番号「1」の右投手はストレートも速く、コントロールもよかった。追い込んでからのフォークボールは斎藤佑樹ばりで、後半、早実の打者はほとんど満足な当たりをさせてもらえなかったほど。6回、1-3となった時に、「負けそうだ」と感じ、7回の4点目は「駄目押し」と思わせた。
「甲子園出場校に勝ってやろう」の気概も、十分に伝わってきた。夏の大会でも、八王子は西東京で警戒しなくてはならないチーム。甲子園レベルにあるといってよい実力だと感じた。

 後半だけを見れば、早実は「完敗」。これで春季大会は敗退となった。
 夏に向けて、小野田はどこまで進化できるのか。昨年に比べて球速は上がっているが、それを生かす制球が今のところない。小野田は魅力たっぷりの投手だけれど、それが克服できないようだと、一昨日、完投勝利を挙げた鈴木が背番号「1」をつける可能性もあるのではないか。

 観客は、一昨日の早実-日大鶴ヶ丘戦よりもかなり少なめだった。
 ブラスバンドは、日大鶴ヶ丘側のみ。試合前のノック時間、ミスチルの「イノセント・ワールド」を延々と演奏していた。
                  (谷川彬良)

2009年4月 6日 (月)

甲子園後の初戦、早実逆転勝ち

 高校野球、春の都大会トーナメントは6日、早実-日大鶴ヶ丘が行われた。2回戦屈指の好カード(早実は初戦)とあって、平日の割りには神宮第二球場は観客が入った。早実の甲子園での健闘を称えようという人も多かったことだろう。ぼくもその一人だ。
 昨夏の西東京大会決勝以来の顔合わせ。この時、甲子園切符をつかんだ日大鶴ヶ丘。この春、選抜大会に出場した早実。共に負けられない戦いである。

 先制したのは鶴ヶ丘。1回、二死1塁で、左の四番打者がレフトへホームランを叩き込んだ。

 早実も1回裏、二死1、2塁から、5番中野が左中間へ二塁打で1点を返した(1走小野田は、ホームタッチアウト)
 早実は2回、9番鈴木のライト線タイムリーで、同点とした。

 早実の先発投手は、鈴木。結局、完投勝ちを収めることになるのだけれど、中盤までは不安定。高めに浮き、しかも死球を2つ与えるなど、ピンチが続いた。
 しかし、送りバントをきわどいタイミングで処理して進塁を許さなかった場面が二度。同点が続く中、このあたりの冷静で確実なプレーが大きかった。

 試合が大きく動いたのは、5回裏。早実は二死満塁のチャンスに、中野が左中間へホームラン。四球後の初球を狙い、打った瞬間にそれとわかるライナー性の大きな当たりだった。

 結局、9-3で早実の勝利。5回に7-2とリードを5点に広げてからは安心して観ていられたが、それまではどちらに転んでもおかしくない接戦だった。

 早実のエース小野田は、今日は4番右翼で出場(森は6番)。甲子園の最後の試合でバランスを崩していた投球フォームは、まだ修正できていないのかもしれない。
 甲子園ではリリーフ登板が続いた鈴木は、今日はコントロールに苦しみながらも、90キロ台と思われるスローカーブも駆使して、完投勝ち。練習試合でも完投したケースはあり、スタミナには問題がないといえる。

 でも、鈴木の直球にもう少しスピードがあったら(140キロ超程度)、斎藤佑樹に近い投球ができるのではないかと期待している。
 次の試合は、8日(水)。今日、鈴木が完投しただけに、今度は小野田が先発するだろうか?

 外野のネット越しに、満開の桜。春本番を思わせる、神宮外苑であった。
                      (谷川彬良) 

2009年4月 4日 (土)

早大-JFE東日本、斎藤佑、敗戦投手

 4月4日、神宮球場で行われた早大-JFE東日本(東京六大学-社会人対抗戦)を観てきたので、簡単に。(5-2でJFE東日本の勝ち)

 早大の先発は斎藤。3回を投げ、被本塁打2で3失点。敗戦投手となった。
 最初のホームランを打たれたのは、大澤(法大出身、社会人2年目)。斎藤が大学初黒星を喫した07年秋のリーグ戦で、レフトフェンス直撃の痛打を浴びた打者。今日は次の打席も、安打を許した。
 今日の最速は、たぶん144キロ。3回には、大河原に逆転2ランをやはりレフトに許した。調子が良いとは言えまい。

 二番手は、エースナンバー「11」の松下。2回を投げて、3安打2失点。三振は4つとったものの、こちらも本調子はまだ?

 この後は、福井1イニング、大石2イニング。福井は149キロ、大石はたぶん147キロが最速。
 大石は4三振を奪い、相変わらずの奪三振王ぶりを見せている。オープン戦では先発で長い回を投げているようだが、最後にこの人が控えている心強さを考えると、昨年までと同様、リリーフで使いたい気もする。

 ――――――――――――――――――――

 打者では、小島が目立った。トップバッターとして、1、2打席連続ヒット。2打席目は、先制の2点二塁打だった。

 その小島よりも“衝撃”を受けたのは、新人捕手の杉山。先発でマスクをかぶり、初打席はセンターオーバーの二塁打、2打席目はセンター前ヒット。いずれも初球を振り抜いたもので、打球も速い。
 といって、何が何でも初球から振り回すわけではなく、3打席目には初球の内角球(きわどいボール)を冷静に見送った。
 初球から振りに行ける「気」の強さ、そして「結果」を出せる確実性。今日の他打者との比較で、すぐにも主軸を打てる可能性を感じさせた。

 その杉山。守備では2回連続で盗塁を許したが、送球がワンバウンド、次は高く浮いたもので、良い球さえ行っていればアウトのタイミング。地肩の強さ、モーションの速さは本物だ。
 試合後半には修正し、2回連続で盗塁を刺した。落ち着いていて、大物の雰囲気がすでに漂っている。リードはともかく、盗塁阻止に関しては、細山田クラスか、それ以上の印象。

 捕手のライバルとなる、新人・地引は代打で登場したが、三振に倒れた。

 新人では、町田(常葉菊川)と佐々木(早実)も、共に代打で登場したが、ヒットを打つことはできなかった。
 佐々木は快足の両打ち。今日は右投手だったので、左打席に立った。一塁へセーフティーバントを見せたが、間一髪アウトだった。
 早実時代、左打ちを盛んに試していたのだが結果が出ず、三年時には左打席は封印していたはず。大学に入って復活させたのは、監督の意向か? 足は確かに速く、外野守備も良いから、左打席で結果が出せるようになったら面白い存在になるだろう。

 ――――――――――――――――――――

 應武監督の「ミス、即交代」は今年も。宇高が三塁ゴロをエラーすると、すぐに松本(ベイスターズ松本啓二朗の弟)に交代、土生は見逃し三振に倒れた後、すぐにベンチに下げられた。この打席だけではなく、初回の打席はカウント2-3から空振り三振で、そこまでバットをほとんど出すことがなかった。三振が、というよりは、消極性が気に入らなかったのだと思われる。

 そうそう、斎藤佑樹に1度回ってきた打席は、三遊間を鋭く抜くヒット。昨年の“ふんわりスイング”ではなかった。(笑)

 試合中盤と終盤に、「オリンピックに野球復活を」キャンペーンで、斎藤佑樹と田中将大の映像が流された。
 最初は早大ナインがベンチ前で円陣を組んでいる最中で、映像が流れている間、電光掲示板をみんなで見入って、笑っていた。初めて見たのかな?
 8回は、大石がマウンドに向かう際に流れた。大石は電光掲示板を見て、グラブで顔を隠しつつ明らかに笑い、その顔をベンチの斎藤にも向けていたように思われる。
 おそらく斎藤は、ベンチでも他の選手に冷やかされていたに違いない。

 ところで、JFE東日本の勝ち投手は、昨年まで2年間早大のエースナンバーを背負っていた須田。5回から2イニングを投げ、1安打に抑えた。
 最速は144キロ。大学三年時にもそのくらいの球を投げていたが、今日は勢いを感じさせた。社会人として、良いスタートを切っているように思われる。応援したい。

 ――――――――――――――――――――

 今年はオープン戦を観に行っていないので、早大の試合を観るのは、昨年の明治神宮大会の準決勝以来。
 あの時のぼくは、貧血事故でぶっ倒れた直後で、前歯が3本なかったのであった。(笑)
                          (谷川彬良)

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