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2008年11月22日 (土)

亜大4年生23人、退部者ゼロの4年間

 読者の方から、「谷川さんがお好きそうな話を一つ」とメールをいただいた。何かなと読んでみると、確かにぼくの大好きな類の話である。
 ぼくの性格を見透かされているような気がしてドキリとするが、こういう見透かされは嬉しいもの。改めて感謝申し上げる。

 ブログ報知で加藤弘士記者が11月15日に記事にしているので、ご存知の方も多いでしょうが、ここでも取り上げさせていただきます。

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 4年前の2004年12月、亜細亜大学野球部員が不祥事を起こした。
 野球部は対外試合6か月禁止の処分を受け、当然ながら翌年春の東都リーグ戦に出場できなくなった。

 進学先での思わぬ事態に、当時まだ高校生だった吉原尚宏(今年の主将)、岩本貴裕(広島カープ1位指名)、岩見優輝(左腕エース)らの気持ちはいかばかりだったか。
 しかし、彼らは初志貫徹し、亜細亜大学野球部に入部した。当初、新入部員は24人いた。

 その24人のうちの一人、佐藤秀樹が4月17日に急性心臓死で他界した。「名門再建」の夢を熱く語る男だったという。一年生は、早々に23人になった。
 リーグ戦に出場できず、練習だけに明け暮れる毎日。大学でひと旗揚げ、その上の球界を目指す者にとっては、歯軋りするばかりだったろう。

 その年の秋。2部リーグで戦った亜大は、引きに引かれた弓から放たれた矢のような存分の戦いを見せ、9勝2敗勝ち点4で優勝。1部最下位の中央大との入れ替え戦に臨んだ。
 先勝した亜大は2戦目の7回、岩本貴裕(当時一年)の2点タイムリーなどで逆転。6-5で勝って連勝とし、1部昇格を決めた。
 この試合、一年生の岩見も終盤投げている。

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 不祥事の中で入部した23人は、この秋のリーグにも全員揃っていた。
 いや、死去した佐藤秀樹のミットが必ずベンチ入りしていたというから、「24人」と言ってもいいか。開幕前の決起集会では、彼の席と食事が用意されていたそうだ。

 この秋のシーズン。最終週前までトップにいた亜大は、「勝ち点を挙げたほうが優勝」の東洋大との決戦に1勝2敗で敗れ、2年ぶりの優勝を逃した。
 生田監督は、4年間で7シーズンしか戦えなかった四年生を明治神宮大会に出して、もうちょっと長く野球をやらせたかったと語った。

 しかし、「一緒にやりたがってる佐藤君が、天国から力を貸してくれてるんじゃないか」と監督が表現するほど、打撃不振の秋のリーグは白星がついてきた。
 最後のシーズンに優勝できなかったとはいえ、そして1シーズン少なかったとはいえ、23人、いや、24人の4年間は傍から見るよりもはるかに充実していて、濃密な時間を過ごしたのではないだろうか。そんな気がしている。
 強い絆で結ばれた05年入学の部員たち。大学の運動部で、退部者が出ないことは極めて稀のはずである。

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 驚いたのは、加藤記者の記事につけられた、亜大野球部を応援するサイト主さんからのコメントだ。
 (死去した)佐藤秀樹君のご家族から、そのサイトに投稿があったというのだが、加藤記者がブログを書いた11月15日は、なんとその佐藤君の誕生日だったというのだ。
「ご家族にとって、加藤記者の記事は嬉しいプレゼントになった」とあり、このサイト主さんも涙があふれた……と。
 ちなみに、佐藤君のご両親は息子さんが亡くなった後も、今日までチームを励まし、神宮球場でも応援していたそうだ。

 もしも、加藤記者が、佐藤秀樹君の誕生日を知っていてこの日にブログを書いたのならば、なんと心の温かい方なのだろう。
                   (谷川彬良)

(#11月7日「Mさんからのメッセージ」に追記あり:11月22日)

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