田中幸長、がけっぷちから三冠王
早慶3回戦。
1打数1安打なら打率トップに立つ早大・田中幸長の第一打席は、首位打者争いの一人・松本のタイムリーで1点先取後の無死1、2塁の場面。投手前へのバントは慶大・加藤幹典がうまく処理して、3塁封殺。
まさかの送りバント失敗で、打率を下げてしまった。
この後、一死満塁から、打率を争うもう一人・本田に二塁打が出て、この時点で本田が打率トップに浮上した。
田中幸長はまさにがけっぷち。早慶戦に入って、3回戦の第一打席までで、本田8打数3安打に対し、田中は10打数1安打の不振。三冠王は夢物語で終わるのか、と思った。
ところが、ここからが田中の真骨頂。本田、松本が第一打席のヒットだけで終わったのに対し、田中は第2、3打席でヒットを放って打率首位に返り咲くと、第4打席でもヒットを放って、三冠王を確定的にしたのだ。
本田も立派だった。第1打席ヒットの後、ランナー2人を置く打席が2つ続いたが、いずれもきっちりボールを見極め、四球を選んだ。
本塁打を放てば、田中と並ぶ3本。打点は田中に4差に迫っていたから、あわよくば本田にだって、逆転三冠王の可能性すら出てきていたのだ。
打ちに行きたいところだと思うのに、平常心で打席に立っていたように思う。大したものだ。
田中幸長は、プロ入り希望だという。リーグ通算66打点は、史上8位タイ。
勝負強い打撃と、明るい性格はプロ向きだろう。ぜひ成功してほしい選手である。
(谷川彬良)


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